人となり表れる「腕時計」自分らしさ表現するコツ ブランドやモデルの哲学が選ぶときのポイント

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両ブランドはどちらも、時計を実用品からファッションへと転化させ、世界的規模で強烈なブームをつくった。そして、このファッションとして時計を楽しむユース文化の洗礼を受けた世代(当時の10~20代)が年齢を重ねて可処分所得が増えると、実用品ではなくファッションとして高級時計を選ぶようになったのだ。

高級時計も“一生モノ”ではなくファッションに

さらに、くしくも携帯電話の普及とともに、高級時計もファッション化を進めた。スイス時計業界の大物経営者であるジャン-クロード・ビバーは、ウブロCEO時代の2006年にダイヤルも針もインデックスも黒くて時刻が見えない「ビッグ・バン オールブラック」を発表。その意味を問われた彼は「今どき、時計で時刻を見る人などいない」と看破。その後もウブロは快進撃を続け、彼の見立てが正しかったことを証明した。

ユーザーは過去の経験から高級時計であってもファッション性を求め、また時計ブランド側は携帯電話の普及によって“実用品”というくびきから解き放たれたことで、色や素材、デザイン面で創造性を発揮できるようになる。ユーザーとメーカーの思いが一致した結果、高級時計は爆発的に売れるようになったのだ。

スタイルを表現するファッションであれば、時計を複数所有するのが当然であり、自分らしさを表現しやすいヴィンテージウォッチに熱中する人も増える。周囲が時計に興味をもてば希少な時計を狙う人も増えるので、サザビーズやクリスティーズでも時計のオークションが開催されるようになり、2次マーケットも活況化する。

“一生モノ”を求めた前の世代よりも、現代の愛好家の高級時計との付き合い方は自由度が高く、そして軽やかであるといえるだろう。しかしそれは同時に、時計選びが難しくなったということでもある。

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