ついにLINEペイも撤退、瓦解するLINEの金融事業 LINEが描いてきた「経済圏」は画餅に終わるか

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 だが、LINEペイの敗因は、グループにおける決済事業の集約だけが理由ではない。LINEが若年層向けの金融サービスを入り口に「経済圏」の構築をもくろむ中、PayPayが仕掛けた「QRコード決済旋風」に巻きこまれた事実も見逃せない。

「スマホのおサイフサービス」。LINEペイが産声を上げたのは2014年末。当時、力点を置いていたのは「送金」だった。LINEでつながる友人向けに電子マネーを送れる機能で、使用シーンは主に飲み会での割り勘を想定していた。

決済機能も搭載してはいたものの、念頭にあったのはネット通販だ。LINEの主な利用者である若年層は、銀行口座やクレジットカードを持たない人も多い。そこで、現金をLINEペイにチャージし、ネット通販での支払いに使われる需要を見込んだ。黎明期の加盟店も、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)など若者向けのアパレル通販が目立つ。

行く手を阻んだPayPayの猛攻

2016年には実店舗での利用も可能になるが、LINEペイが打ち出したのはスマホ決済だけでなく、LINEペイの残高に連動するプリペイドカードだった。やはり、クレジットカードを持たない層を意識したサービスだ。LINEペイはQRコード決済の普及よりも、信用力の低い若年層に金融サービスを提供し、自らの「経済圏」に引き込むことを主眼とした。

実際、LINEは2018年頃から広告に次ぐ収益柱として金融事業を掲げている。1月に金融持株会社であるLINEフィナンシャルを立ち上げると、6月には野村ホールディングス(HD)と合弁でLINE証券を設立。11月にはみずほフィナンシャルグループと共同でLINEバンクの構想も発表した。

とりわけ決済という身近な金融サービスを提供するLINEペイは、若年層とLINE経済圏との接点を生む「先兵役」となるはずだった。銀行や証券など、経済圏の構築に必要なパーツがそろいつつあった矢先、その行く手を阻んだのがPayPayの猛攻だ。

PayPayが電撃戦に打って出た実店舗でのQRコード決済は、加盟店舗数の少なさというLINEペイの「急所」を突いた。PayPay上陸前夜の2017年末時点で、LINEペイの加盟店舗数は自動販売機やネット通販を含めても数万拠点。数百万単位で競う昨今のスマホ決済サービスとは歴然の差だ。

「2017年の年間決済高は4500億円超、アカウント登録者数は4000万人」。当時、LINEはLINEペイの利用実績をこう強調したが、いずれも事業が好調な台湾なども含めた数値だ。国内事業を管轄するLINEペイの単体売上高は、2017年12月期でさえわずか2.1億円にとどまった。

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