なぜ教師は「魅力的な職業」ではなくなったのか、優秀な人材確保のための3条件 「多忙・授業以外の負担大・残業代なし」への対処

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少子高齢化などを背景として、学校現場に限らず、さまざまな業界で人手不足が生じている。ただ、教師のなり手不足は、未来を担う子どもたちの教育に直結する深刻な問題だ。文科省も優秀な人材を教職に呼び込もうと必死だが、あまりうまくいっていない。本職である授業以外の業務負担が大きく多忙で残業代も出ない学校現場を魅力ある職場へと変えていくには、文科省や中教審のみならず教育委員会や校長などの管理職にも大きな変革が必要だ。教育研究家の妹尾昌俊氏に解説してもらった。

中教審の「審議のまとめ」に批判相次ぐ

先月、中央教育審議会で、質の高い教師の確保のための総合的な方策が出た。このタイミングだったのには2つの理由がある。教員の世界も人手不足が深刻化していることと、政府の骨太の方針が固まる前に打ち出しておかなくては、来年度の予算や事業に反映されにくいためだ。

※「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)

この審議のまとめは、報道やSNSで厳しく批判されている。教職調整額(月給に4%分上乗せて支払われている)を10%以上に増額する案であり、残業代を支払わない教職員給与特別措置法(以下、給特法)を抜本的に見直さないからだ。

妹尾昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、一般社団法人ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)

たしかにその問題も重要だが、給特法以外の方策や環境整備にも注目していく必要がある。給特法だけで解決できるほど簡単な問題ではないし、給特法の廃止には功罪がある(関連記事)。

ここでは、今回の審議のまとめの注目するべき点や背景について、解説する。なお、私も委員として審議に関わってきたが、中教審を代表する立場ではないし、個人の見解を述べる。本文や概要版もお読みいただいたほうがよいが、わかりづらい箇所もあるので、私なりに意訳したざっくりとした解説をしたい。

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