勤務間インターバルの導入、「学校にはなじまない」という人に足りない視点 原則と実態が乖離する中、最低限の仕組み必要

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働く人の健康確保を目的とした施策「勤務間インターバル」をご存じだろうか。仕事が終わってから翌日の始業までの間に一定の間隔を設けることで、睡眠時間など十分な休息を確保しようという制度だ。2019年4月から民間企業では事業主の努力義務となっているが、その「勤務間インターバル」の学校への導入が、中教審の施策としてつい最近盛り込まれた。教育研究家の妹尾昌俊氏は、「できない」「学校にはなじまない」とならずに、教員と子どもたちの健康、安心を守ることの重大性も考えて前向きに検討してほしいと話す。

8月27日に文科省の中央教育審議会(中教審)で、質の高い教師の確保のための総合的な方策についての答申が出た

かなり幅広い内容を含むのだが、新聞やテレビ、ネットなどのほとんどの報道は、公立学校教員に残業代を出さない特例法(給特法)を維持することと、教職調整額を現行の4%から10%以上に引き上げる提案であることが中心だった。私がヒアリングした限り、報道の影響もあってか、多くの校長や教員という当事者たちの認識も、そうした処遇の話に偏っていた。

確かに、残業代を出すべきかどうかや給与水準は、人材確保や現役の教員の職務満足、モチベーション、時間外勤務の状況などに影響しうる重要問題ではある。だが、打ち手、施策はそれだけではない。

あまり注目されていないが、今回の答申にはとても重要な施策が盛り込まれている。それが「勤務間インターバル」の学校への導入だ。

※「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)

妹尾昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、一般社団法人ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)

「勤務間インターバル」って何?

「またカタカナ語が出てきた」と嫌気をさす読者もいるかもしれないが、勤務間インターバルは、厚労省によると「終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けること」を指す。

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