市民ランナーの心とらえる「サブ4の魔力」の正体 「ギリギリ4時間以内」のゴールがもっとも多い

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私たちの日常生活では、「年収1000万」「TOEIC 800点」といったキリのいい数字を基準にして、その数字を目標とする場面が多くあります。

また、キリのいい数字を境にし、自身や周囲の印象が大きく変わることもあります。

TOEIC の点数を例に考えてみましょう。Aさん、Bさん、CさんのTOEICの点数がそれぞれ次のようなものだったとします。

Aさん:796点 Bさん:801点 Cさん:806点

AさんとBさんの点差も、BさんとCさんの点差も、同じ「5点」です。しかし、800点を超えているBさんとCさんの実力は近いと感じる一方、800点を割っているAさんと超えているBさんの実力差は大きいように感じると思います。

数理統計的に「5点」という同じ意味であっても、基準を超えるかどうかで感じられる価値が変わってきます。

似たような例が、中古車の販売でも知られています。

たとえば、走行距離を除いて同じ条件の中古車が3台あったとします。走行距離はそれぞれ99,500km、100,000km、100,500kmです。

この場合は、10万km を割っている最初の車が、特に高い価格で売れます。500km の差は誤差のようにも思えますが、意思決定に大きな影響を与えるのです。

キリのいい数字で意思決定が変わる「概数効果」

このように、人間はキリのいい数字を基準に、意思決定が変化することがあります。

キリのいい数字を目指すために、自らの行動や判断を調整することがわかっており、このことは「概数効果」として知られています。

スポーツでは記録が重要視されますが、スポーツ選手でも、この概数効果がみられるのでしょうか?

概数効果がみられるのであれば、年間10ゴールを狙うストライカーは、9ゴールのときにラストパスではなくシュートを打ちやすい傾向があるはずです。トッププロの選手にも概数効果がみられるとしたら、それを作戦に組み込むことが可能となります。

次ページ「概数効果」がマラソンの記録に与える影響
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