有数の投資物件「晴海フラッグ」の購入はアリ? 初期購入者は巨額の含み益も、貸し出しは供給過多

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そこで、晴海フラッグへの中長期投資の成否を占うために、今後の物件価格の上昇要因と下落要因を確認しましょう。

上昇要因は、何といってもインフレです。近年マンションが住宅地や一戸建てよりも急上昇しているのは、マンション建設のための資材価格や工賃が上がっているから。今後も輸入物価の高騰や人手不足が続き、マンション価格を押し上げると見込まれます。

不動産価格指数

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

晴海フラッグに固有の上昇要因があります。今年2月からBRT、5月から水上バスの運行が始まり、2050年頃には地下鉄の駅ができるなど、課題のアクセスが改善されます。保育園など生活施設も充実し、エリアの魅力が高まるでしょう。

なお近年、中国など海外の投資家からの資金流入が首都圏のマンション価格を吊り上げてきましたが、今後さらに資金流入が増えるかどうかは、「まだまだ増える」という強気派と「そろそろ限界」という弱気派の意見が交錯しています。

金利の動向が気がかり

一方、最大の下落要因は、住宅ローン金利の上昇です。三菱UFJ信託銀行がデベロッパーを対象に実施した調査によると、住宅ローン金利が0.5%上昇した場合、分譲住宅の販売価格が「10%以上下落する」と全体の16%が、「10%未満下落する」と56%が、合わせて72%が下落を予想しています。

晴海フラッグ固有の下落要因もあります。1つは、この地域の需給の悪化です。SKY DUOだけでなく、近隣の築地などでも大量の物件供給が予定されています。近隣の物件との競争では、アクセスの悪い晴海フラッグは不利でしょう。

また、入居率の低迷が続き、晴海フラッグのブランド価値が低下してしまうかもしれません。賃貸価格がまだ高いのか、もともと住む気がない転売目的の投資家が多いのか、とにかく空室が目立ちます。夜になると、電灯が光っている住戸はまばらです。

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