物流業界で異例の「買収合戦」突入か、佐川も名乗り 丸和の"同意なき買収"は株価高騰で視界不良

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ここから先のTOBは、極めて見通しづらくなっている。そもそも、丸和HDの買い付け価格である1株3000円もかなり踏み込んだ水準だった。基準日の3月19日終値2040円に47%超のプレミアムを付けた買い付け価格とし、買収総額651億円超を想定していた。

ここ3年のC&F株価は、2000円を下回って推移してきた。2015年の上場以来、3000円台をつけたことはなく、PBR(株価純資産倍率)も1倍割れが常態化していた。業績は安定しているものの、明確な成長はできていない。丸和HDを上回る額を提示をする対抗馬が出てきたとしても、物流事業での投資回収はかなり難しいものになるだろう。

一方でC&Fは、各地に自前の物流センターを保有している。2023年3月末時点での土地の簿価は約170億円ある。投資ファンドが流動化を視野に、含み益を勘案した提案を打ち出す可能性もありそうだ。

TOBの行方は混沌

丸和HDの和佐見社長は5月13日、決算説明会でTOBについてこう語った。

「(1株)3000円以上で買う同業者は少ないのではないか。同業者なら採算が合うか合わないかよくわかると思う。ファンドは関係なく、持っているものをすべてお金にすれば済むから、まったく手法が違う。われわれはそこで働く皆さんを大切にする、幸せにする責任がある。だから王道を進む。よく見ていてください。いずれにしても、やるかやらないかというのは相手次第です」

丸和HDがこのまま押し切るのか、それともSGHDなど、同業者が対抗馬として参戦するのか、あるいは投資ファンドが名乗りを上げるのか。物流業界で起こった同意なき買収、C&Fの争奪戦は視界不良の状態だ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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