GPT-4oにしてもProject Astraにしても、AIの反応は非常に素早い。GPT-4oはすでにChatGPTの有料版である「ChatGPT Plus」で利用可能になっている。筆者も使ってみたが、従来に比べとにかく回答までの待ち時間が短く驚かされた。
Googleも今回、素早くスムーズな対話に特化した「Gemini Live」や即応性とコストを改善した「Gemini 1.5 Flash」を発表している。
生成AIの評価点と言えば「賢さ」というイメージが強いかもしれないが、実際にはそれは正しくない。多くの人が利用するようになればなるほど、サービスの即応性は極めて重要な要素になってくる。反応が遅いと利用者が「離脱」してしまうからだ。
即応性の追求と競争は、生成AIが本格的に社会実装され、利用者が増えていく過程で必須の変化なのだ。
スマホとの連携がGoogleの強み
では、近い将来に登場するAIエージェントはどこで使われるのか?
まずはスマートフォンの中で使われることになるだろう。スマホにはカメラもマイクも内蔵されている。常に持っていることが多く、もっとも身近なコンピューターでもある。
現在もネットの大半はスマホから利用されているが、様々な日常的な情報を検索しつつ生活の助けとするなら、スマホの上に賢いAIが搭載され、それを活用する流れになるのは間違いない。
だとすれば、生成AIにはマルチモーダル性が必須であり、スマホへの搭載も必然ということになる。
生成AIの技術面ではOpenAIが先行していると言われるが、人々が実際に接するにはなんらかの機器が必要。GoogleはAndroidというOSを持っていて、スマホメーカーとの関係も密である分、OpenAIよりも有利な部分がある。
今回のGoogle I/Oで、同社のスンダー・ピチャイCEOは「The Era of Gemini(Geminiの時代)」という言葉を使った。Googleのあらゆるサービスの基盤にGeminiが使われていくことを示したものだ。その中核はもちろんAndroidへのGemini統合があり、将来的にはProject Astraの成果がある。Googleとして強調したいのはそこなのだろう。
そこで気になるのは「もう1つのスマホOSメーカー」だ。
生成AIからスマートフォンで動くAIエージェントへと移行していくのが必然であるなら、アップルも同じことを考えるのも、また必然であろう。
アップルは現状、この種の技術に対する方向性を明確に示してはいない。6月には開発者会議「WWDC」を開催するため、そこでなにかが発表される可能性は高いだろう。アップルの提携先としてはいくつかの噂があるが、OpenAIやGoogleの施策との関係を想像すると、「アップルがどことなにをするのか」が見えてくるような気もするのだが……。
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