OpenAI「コード・レッド(緊急事態)」宣言の深層  最新の《GPT-5.2》が狙う「賢さ」から「稼ぐ力」への競争軸転換

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OpenAIは「コード・レッド」を宣言したと報道されたが、それは演出されたものかもしれない(写真:metamorworks/PIXTA)

コード・レッドーー。それは本物の焦りではなく、巧みな演出なのかもしれない。

2025年12月11日、アメリカのOpenAIは最新AIモデル「GPT-5.2」を発表した。しかし、その舞台裏には、穏やかならぬ空気が流れていた。

Googleの「Gemini 3 Pro」が主要ベンチマークでOpenAIを凌駕し、AI市場の勢力図を急速に塗り替え始めていた。時を同じくして、OpenAI内部では「コード・レッド(緊急事態)」が宣言されたと報じられていたからだ。

緊急事態宣言は演出されたもの?

競合の躍進を受けてOpenAIは、本来ならば数カ月先に提供する予定だった新しいAIモデルを前倒しで公開するとの話題で持ちきりだった。

しかし、この「危機感の物語」は演出されたものかもしれない。OpenAI幹部は「GPT-5.2の開発計画は何カ月も前から進めていた」と明言している。週間ユーザー8億人、API処理量毎分60億トークン、法人契約100万社超という圧倒的プラットフォームを持つOpenAIは、GPT-5リリース後に本格的な実証実験に入り、その運用を通じて得られるデータを反映してきた。

OpenAIは、開発競争の評価軸を、従来の「学術的な賢さ(IQ)」から「経済的価値(GDP)、つまり稼ぐ力」へと根本的に塗り替えようとしている最中だ。

それを踏まえると、今回取りざたされている「コード・レッド」という刺激的なワードは、メディアの注目を集めて反撃を劇的に演出する広報戦略だったようにも思える。

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