輸出業者にとって新規受注の回復は朗報であるものの、彼らの心中は複雑だ。なぜなら、戻ってきた需要を中国の同業者が奪い合い、価格競争がエスカレートしているからだ。
「業界内の値引き競争は熾烈だ。価格競争に加わらなければ、同業者に受注をさらわれるのを黙って見ているだけで、従業員を養えなくなる。さりとて価格競争に参戦すれば、年間100万ドル(約1億5477万円)の損失が出るかもしれない」
広州交易会に出展したある減速機メーカーの担当者は、財新記者の取材に対してそう実態を打ち明けた。
人民元安でも利益は残らず
最近の(対ドル為替レートの)人民元安は、輸出企業の経営にとって有利な要素のはずだ。しかし「中小企業の場合、人民元安の利益は価格競争の原資に回さざるを得ず、ほとんど残らない」と、ある出展企業の担当者はため息をつく。
輸出量は増えているが、輸出価格は下がっている――。これは広州交易会の出展企業に限らず、中国の多くの業界が抱える共通のジレンマだ。
業界団体のまとめによれば、2024年1月から2月までの中国の鋼材輸出量は前年同期比32.6%増加したが、重量当たりの平均輸出単価は同32.1%も下落した。そのほかの分野でも、例えば石油製品の平均輸出単価は同5.3%、アルミニウム製品は同8.6%、タイヤは同2.4%それぞれ下落している。
(財新記者:王婧)
※原文の配信は4月24日
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