プエルトリコ、米政府に破産法適用を要請 債務8兆円以上、ギリシャ問題に続く難題
[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米自治領プエルトリコのアレハンドロ・ガルシア・パディラ知事は29日、連邦破産法に基づく債務再編の実施を認めるよう米国政府に求めた。
同知事はテレビ演説で、債券保有者が犠牲を分かち合わなければならないと述べた。
プエルトリコの新たな顧問に起用された国際通貨基金(IMF)元IMF筆頭副専務理事のアン・クルーガー氏が、プエルトリコは「債務超過」状態にあり、近く財政資金が底を突くと指摘したことを受けた動き。
プエルトリコは730億ドルに及ぶ債務負担の軽減を求めており、皮肉なことに財政危機にあえぐギリシャと同じ日に正念場を迎えた。重要な債務返済期日の7月1日を控え、クルーガー顧問が財政の信頼性に関して厳しい内容の報告書を発表したことが引き金となった。
報告書では、連邦破産裁判所の元判事で現在はプエルトリコと契約を結んでいるスティーブン・ローズ氏が、プエルトリコは「もはや債務返済不能に陥っており、運転資金も近く枯渇する。住民と企業が苦しむことになる。早急な手助けが必要だ」と訴えた。ローズ氏は歴史に残るデトロイト市の破産手続きを担当した経験がある。
プエルトリコは地方自治体ではないため、米国の破産法に基づく債務再編を実施する資格がない。
ローズ氏はプエルトリコの未来は、破産法の下での債務再編の資格を得られるかどうかにかかっていると指摘する一方、破産は「公的救済」には該当しないと強調した。
テレビ演説でガルシア・パディラ知事は、自らの目標は交渉の末に債権者から多数の年に及ぶ債務の返済猶予(モラトリアム)を得ることだとした上で、米国政府に対して破産法の適用申請を許可するよう要求。「さもなければ全ての支払いは停止し、あらゆる面にマイナスの結果が及ぶ」と語った。
報告書の共同著者であるクルーガー氏は、債務再編のほか増税と歳出削減を提言しており、「状況は厳しくかつ緊急を要する。政治的抵抗に直面する恐れがあるが、問題への対応に失敗すればさらに多くのプエルトリコ住民に影響が及ぶ」と警鐘を鳴らした。
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