自己啓発本、何冊も買い込む人に教えたい"危うさ" 本を「師」ではなく「道具」としても使うのが重要
もう1つが、本来の目的である「自己啓発本で能力を向上したり、人生を変えたりしたい人」です。「なぜそんなに何冊も必要なの?」と不思議がられるのは、おそらくこちらの人ではないでしょうか。
自己啓発本の内容が人生に役に立つ人というのは、本を「師」ではなく「道具」としても使える人だと思います。人生は個々により能力も状況も背景も違いますから、どんなにすばらしい「師」の生き方を参考にしても、それが自分にあっているとは限りません。また、道具はあれば便利ですが、地道な努力や試行錯誤なしでは成功はありえません。
自己啓発本が人生の役に立つ人は、本を「道具」として使い、努力や行動をするから、目標に着実に近づいていけるし、目標を達成してしまえば、何冊も似たような本を買って読む必要がないのです。
即効性は「エナジードリンク」のようなもの
逆に、読んだだけで「経験した」つもりになってしまう人や、自己啓発本に書かれていることが「万人に効く薬」だと考えている人は、何冊買っても物足りなくて、買い続けてしまうのだと思います。
特に、一度でも「即効性」を感じてしまうと危ういです。例えるなら、読んですぐ「モチベーションが上がる」状態です。新しい知識に触れた瞬間は、誰でも未知の感覚を体験します。そういった意識の変化はエナジードリンクのようなものです。
自己啓発本に限らず、初めて見るジャンルの映画や、初めて食べる料理などでも同じことが起こります。どの場合でも大事なのは、「すべての人が自分と同じように感じるわけではない」と、妄信的にならないことです。甘党イチオシのスイーツを食べても特別においしいと感じない人もいるように、「必ず誰にでも同じ結果が出る方法」はないのです。
自己啓発本に書いてある方法というのは、誰かが地道に努力や試行錯誤をして、たどり着いた「方法の1つ」です。本との出合いで人生が変わった人は、その出合いの後で実際に行動して、努力や行動をした人です。本を1冊読んだだけで直後に人生観が変わって、今までとは別の自分になったり、努力もなしに能力が上がったりするなら、それは魔法です。そういった効果を現実に求めてしまうのは、神頼みに近く、危ういと思うのです。
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