facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?

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AIを用いたシステムで使われる機械学習は、雑多な情報から傾向を導き出し、特定の情報を抽出することに長けた技術だ。不正広告の検出にAI技術を本気で応用しようとしているのであれば、人間による審査を併用することで大多数の問題を検出できるはずで、少なくとも同じ不正利用画像が何度も繰り返して広告に使われることはないはずだ。

ところが不思議なことに、メタに対する風当たりが強いEU圏においては、同様の不正広告をめぐる告発が見つからないのだ。これでは文句を言わない国や地域において、意図的にこの問題を放置していると言われても反論できないだろう。

これほどずさんな広告プラットフォームが放置されれば、各国政府による規制が強まる以前に、広告プラットフォームとしての価値が下がり、広告主の離反を引き起こす、あるいは業務の停止といった強い処分が下される可能性も出てくる。

230条は日本での免罪符になるのか

この230条にのっとった通信サービスプラットフォーム事業者の主張は、異なる企業であっても、判で押したように同じような論理で展開される。

「詐欺に取り組むために多面的なアプローチを採用しています。新しい機械学習技術などの技術と、人間によるレビューの両方を用いて、当社のポリシーに違反するコンテンツやアカウントを特定する」

この主張は、詐欺広告問題に関してオーストラリアのガーディアン誌が質問したときにメタから得られた回答だそうだが、まったく同じ回答を筆者はAmazonマーケットプレイスに関してAmazonから得たことがある。

しかしこのアメリカにおける法律が、日本市場において責任を逃れるための免罪符となるのかは疑問が残る。たとえ罰金などの直接的なペナルティーが加わらなかったとしても、問題の放置が彼らの広告事業にマイナスの影響を与える可能性は大いにあるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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