線路を守る東鉄工業が「失敗できる」唯一の場所 実習線や「駅」、大型保線機械もある研修施設

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研修センターの大きな特徴が研修棟に設置した安全研修室だ。過去に同社で起きた重大事故を展示や映像、VR(仮想現実)で学ぶことができる。同社人材開発部の村岡正部長は「本来なら隠したくなるような事故であっても、原因や背景を正確に情報開示することが安全面の向上につながると考えている」と説明する。

東鉄工業 安全研修室
研修棟の安全研修室。2003年、軌間に置き忘れて京浜東北線の始発電車とぶつかったバケットの実物を展示(記者撮影)
東鉄工業 安全研修室
安全研修室では実際に起きた事故の現場をVRで体験できる(記者撮影)

研修センターでは10人ほどの専任講師のほか、現場の所長や主任クラスの約100人が兼任講師を務める。陣川博朗所長は「兼任講師によって教える側の層も厚くなっている。昔は先輩の背中を見ながら自分で学ぶものだったが、個人の能力や配属された現場によってバラツキがないように基礎をしっかり教えて一人前に育てるのが研修センターの役目だと考えている」と語る。

「失敗できる」メリット

施設は自社グループだけでなく、協力会社の社員の研修や資格の取得、業界関係者の見学などで幅広く活用する。高校生や大学生のインターンシップといった採用面にも役立てるほか、地域住民向けの「ふれあいイベント」や小中学生向けの職業体験も開催している。

東鉄工業 研修センター 駅ホーム
東鉄工業人材開発部の村岡正部長(左)と東鉄総合研修センターの陣川博朗所長(記者撮影)

実際の営業線でのメンテナンス工事は、夜間の終電から始発電車までの限られた時間内に終わらせなくてはならない。陣川所長は「『失敗ができる』というのが研修センターの大きなメリット。昼間にゆっくりと確認をしながら実習することができる」と強調する。

最近では線路部門は2023年8月開業の芳賀・宇都宮LRTの軌道、2024年3月開業の北陸新幹線敦賀延伸のレールの敷設などの新線工事に携わった。土木・建築部門は鉄道インフラの耐震補強工事で強みを発揮する。村岡部長は「研修センターを活用して人材育成を強化し、さらに難易度の高い工事にも挑戦していきたい」と話す。

業界を問わず人手不足が深刻化するなか、充実した研修施設やカリキュラムを用意できるかが、人材確保のカギを握ることになりそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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