高齢化に伴う墓不足懸念から一転、都市部でも墓余りの現象が広がる。
急増する墓じまいから樹木葬、海洋散骨に至るまで、葬送をめぐる価値観の急速な変化とその実情を探った。『週刊東洋経済』4月13日号の第1特集は「無縁時代の『お墓』新常識」だ。
JR日暮里駅から徒歩数分に位置する東京都立谷中(やなか)霊園(東京都台東区)。桜の名所で、渋沢栄一のお墓があることでも知られる同霊園は、都民からの人気が高い。
東京都公園協会によると、2023年に70の空き区画について使用希望者を募ったところ、423件の応募があり、公募倍率は6.0倍に上った。
東京都港区にある青山霊園も人気が高く、同倍率は12.5倍に達した。多くの都立霊園は、高倍率の抽選を突破しなければ、使用できない。
そもそも日本は高齢化の進展で「多死社会」に突入している。年間の死亡数は23年には159万人に上っており、さらに40年には167万人まで増えると推計されている。
死亡数は増えているが…
となれば今後、都市部を中心に墓不足が深刻化しそうに映る。
しかし、現状を探っていくと、不足するどころか、実は「墓余り」ともいうべき現象が広がりつつある。
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