Supreme新作を「買える人」「買えない人」本当の差 現在社会で早い者勝ちがもはや通用しない訳

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ところが、である。入場時間になると妙なことが起きる。列の先頭付近にいた汚れた服装の人たちの多くが、パリッとスーツを着こなした男女と入れ替わるのだ。スーツの彼らはさっさと法廷に入って一番いい席を占める。列の後ろのほうに並んでいた人たちがまだ入場してもいないうちに。いったい何が起きたのか。  

これは「行列代行」とか「並び代行」と呼ばれるビジネスだ。それを専門にする会社が並び屋を雇って賃金を払う。並び屋はホームレスであることもめずらしくない。彼らは何日も前から列の先頭を確保し、あとはひたすら待つ。そして最後の瞬間に、つまり「法の下の平等な正義」と刻まれた裁判所の扉が開かれる直前に、依頼主と交代するのである。

依頼主は並び屋に払う金はあっても、並ぶ時間はない人たちだ。行列代行専門の小さなスタートアップ(Linestanding.com、Skip the Line、Washington Expressなど)は、もともと無料の席に6000ドルを請求することもある。一方、雨風や寒さの中で待ち続ける並び屋には最低賃金しか払わない。

Supremeの新作発売日に並ぶ行列代行の実態

行列代行業は、行列待ちの席を手に入れる方法をがらりと変えた。最高裁の傍聴席だけではない。国家の法律が議論される議会の公聴会もそうだ。公聴会も誰にでも開かれており、現役議員の論戦を間近に見聞きできる。

とはいえ今日では公聴会は弁護士やロビイストで埋まっていることが多く、その全員が誰かに代行料を払い、列に並ばずして席を手に入れている。同じことが、更新申請したパスポートを窓口で受け取る列や建築許可を地方当局で申請する列にも起きている。  

行列代行業は、いまや民間部門でも大繁盛だ。代行料を払う気さえあれば、iPhoneのニューモデルや、大人気のスケートボードブランド、シュプリーム(Supreme)の新作ウェアや、ブロードウェイのチケットに並ぶ列の先頭を確保できる。メイシーズの感謝祭パレードを見るニューヨークの路上の特等席だって手に入れられるのだ。

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