NHK「1000億円削減」とコンテンツ拡充の大矛盾 「6つのニュースサイト、突然閉鎖」の背景とは

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1000億円も支出を減らすのに6つも充実させる柱があるというのは、“無理ゲー”にもほどがある。

支出14%削減は可能なのか

6720億円から5770億円に減らすと、14%の減少になる。放送業界で14%減と聞いて思い出すのはリーマンショックの時の民放だ。電通発表の「日本の広告費」によると、2007年に1兆9981億円あった地上波テレビの広告費は2年後の2009年には1兆7139億円に急減し、減少幅は約14%だった。

民放業界の空気がはっきり変わったときだった。大手広告代理店も含めて180度の勢いで物事の考え方が変わった。余計な出費は避け、やたらとあった接待はなくなり、会社によっては給与体系が変わった。深夜のタクシー帰宅に数名での同乗を推奨するようになった会社もある。その後、テレビ局がネット活用に舵を切るきっかけにもなった。14%の減少はそれくらいのインパクトをもたらす。

今回の経営計画は3年間なので2027年度はその先だ。そこでやっと収支均衡というが、2027年度への1年で425億円下げることになっている。その前は128億円、257億円、139億円ずつの減少なのに、計画の後の1年に残りを強引に負わせている。大丈夫なのかと心配になってくる。

ただし、NHKには「実績」がある。事業支出は2019年度に7279億円とピークを迎えたが、その後2021年度までに615億円減らして6664億円になった。「やればできる」ということだろうか。

だが2019年度以降の実績値と、今後の予算を並べてみるとやはり心配になる。

NHK事業収支(実績+予算)
(画像:「NHK業務報告書と経営計画」より筆者作成)

まず2022年度までは収入が減りつつもそれに合わせて支出を減らし、赤字にはなっていない。ところが2023年度はまだ見通しだが赤字。さらにその後も2026年度まで毎年赤字が続いて、2027年度に突然トントンになるのだ。どこか都合が良すぎる予算だ。しかも稲葉会長の任期は2026年の1月まで。このところ何代もの外部から来た会長が3年ごとに代わっている。2027年度にトントンになるかどうかについて、稲葉会長は責任を取れない可能性が高い。

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