生徒が発案、学祭来場者「電車運賃を負担」の成果 駐車場不足がきっかけ、高知商業高校の挑戦

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さらに、学校祭で生徒が販売しているものを購入し、領収書または購入証明書をもらって再度、事務局に行くと帰りに利用できる200円分の路面電車のチケットがもらえる。路面電車のチケットについては、高知商業高校が学校祭での物販売り上げの中から「とさでん交通」に対して利用者の運賃分を支払った。

こうした学校祭来場者への路面電車運賃負担の取り組みは、どのような理由で始まったのだろうか。話は2010年代半ばへとさかのぼる。当時の学校祭では、来場者の駐車場不足と高校近隣での駐車マナー違反の問題が表面化していた。

学校内には駐車スペースがなかったことから、学校祭への来場者は近隣店舗などに駐車して来場する人が多く、駐車マナーの悪さも問題になっていた。学校祭の開催中、高校に苦情が入り、校内放送で車の移動を呼びかけることもあった。

こうしたことから、学校祭来場者の駐車場不足を解消すべきという声が生徒からも上がり始め、2017年6月から生徒会を中心として課題解決に動き出す。また、学校祭の集客についても、市民に対する幅広い広報活動が不十分であるという課題があったことから、これら双方の解決策を模索し始めることとなった。

鏡川橋電停で配布された引き換えチケット(筆者撮影)

当初はシャトルバス運行で駐車場不足解消を考える

生徒たちは、まずブレーンストーミングによって自由に意見を出し合うことから、課題解決への模索を始めた。当初は、駐車場不足の解消については「シャトルバスの運行」が、市民への広報活動については「新聞広告」の活用が有力な案として上がった。しかし、双方ともそれぞれの課題解決にしか対応できず、その割にコストがかさむことなどから断念することになる。改めて双方の課題を同時に解決できる方法を模索することになる。

当初のブレーンストーミングでは、「新たなものを生み出す」という前提で生徒たちはアイデア出しを行ってきたが、コスト面を含めて有力な解決策を見つけることができなかったことから、「既存のものを活用する」という切り口であらためてアイデア出しを行うことにした。その結果、双方の課題解決を同時に達成するためには「マイカーの代替手段となり、かつ宣伝効果の高い移動手段となること」が必要な条件であることだとわかり、公共交通機関の活用をベースにアイデアを具体化させることにした。校舎が公共交通のアクセスが良い場所に立地していることもアイデア具体化の追い風となった。路面電車「とさでん交通」伊野線の鏡川橋電停までは徒歩で10分弱、JR土讃線の高知商業前駅までは徒歩で5分足らずの距離にある。

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