運転本数復活や乗継改善「24年春新ダイヤ」の要点 京葉線「改悪」の一方で利便性向上した線も多数

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千葉のダイヤは京葉線の改悪ばかりが話題になっているが、新宿と房総を結ぶ特急「新宿わかしお」「新宿さざなみ」も改悪だ。秋葉原からも錦糸町からも、筆者が見る限り自由席は1両につき7〜8人程度の乗降があったが、秋葉原は通過となった。これまで山手線の東側から利用していた人は秋葉原と錦糸町で計2回、階段経由の乗換になる。

一方で船橋では、朝の便では1両につき1人ずつしか乗車がないケースも多いものの停車を継続している。客が減るのはこのような停車駅設定のためではないか。京葉線の特急も通勤快速利用者の半数が降りていた新木場は通過で、停車駅設定のセンスがいいとは思えない。

北陸新幹線延伸の「並行在来線」は?

東海道新幹線に注目が集まりがちなJR東海だが、今回のダイヤ改正では在来線が大きく変わった。日中の中央西線は快速も名古屋―高蔵寺間を各駅停車化(停車駅2駅増)して「区間快速」にしたが、最高速度を時速110kmから130kmに向上することで所要時間の増加を吸収。高蔵寺から先の郊外区間は従来通り快速運転だ。通勤時間帯の快速をやめて速度も向上しない京葉線とは対照的だ。

315系
JR東海の中央西線名古屋―中津川間は新型の315系に統一され最高速度がアップした(編集部撮影)

これまでほとんど変化がなかった静岡県内の東海道線にも大きな変化が起こる。従来は主に熱海―島田間、興津―浜松間で運転が分離されていたが、熱海―浜松間の直通列車と、興津―島田間の静岡都市圏区間列車という2系統の体制となった。とくに注目すべきは、熱海13時14分発の列車は豊橋(16時18分着)まで乗り換えなし! これは青春18きっぷ利用者に朗報だ。

JR西日本と、北陸新幹線敦賀延伸でJRから分離された区間も改善がみられる。コロナ減便で減らした車両数をなかなか元に戻せず、インバウンド回復による混雑でブーイングの嵐だった京都の嵯峨野線では、ついに日中の普通列車毎時4本運転が復活。混雑問題を地元やメディアが継続的に粘り強く取り上げた成果といえるだろう。

北陸新幹線延伸で経営分離された福井県内の元北陸本線、「ハピラインふくい」はJR時代よりもダイヤが改善された。まず、福井―武生間は日中毎時1本から2本に増発。地方鉄道ではなかなか見られない思い切った施策で、ダイヤのパターン化も行われている。また、福井―敦賀間には快速が登場。敦賀方面は朝2本と夜2本、福井方面は朝2本と夜3本の運転だ。福井県は新幹線敦賀延伸後も福井と大阪方面を結ぶ特急の存続、新快速の延伸などを要望してきたがいずれも叶わなかった。快速はその代替といえる。

今回のダイヤ改正では減便や快速の削減があっても、その分速度向上や列車接続による速達性の向上など、どこかの湾岸部を走る赤い帯の電車と比べて工夫が見られるケースが目立った。また、自治体の要望や自治体主導の取り組みなどによって本数の復活や利便性向上を勝ち取ったケースもある。これらを参考に、千葉県や房総半島の各市町村には希望を持ってがんばっていただきたいと思う次第である。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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