株価、金、ビットコインが驚くほど高騰する事情 世界の金融資産が史上最高値の更新を続けるなぜ

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③北朝鮮・ロシアの制裁逃れに活用
 ウクライナに侵攻したロシアや国連決議違反を続けている北朝鮮やイランは、揃って世界中から経済制裁を受けているが、制裁によって不足している外貨をビットコインによって補っていると言われる。これまでにも北朝鮮のハッカー集団が、大手暗号資産交換業者のコインチェックから5億3000万ドル相当を盗む事件があったが、同様にバングラデシュやマレーシアの中央銀行が保有する暗号資産が盗まれる被害に遭っている(「ビットコイン 不穏な風穴」、日経新聞2024年2月29日、朝刊)。

ロシアも、北朝鮮やイランなどから武器を違法購入する際に、決算手段としてビットコインを使っていると報道されている。世界的な決済ネットワークである「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除された国にとっては、ビットコインが重要な決済手段のひとつとなっていることは間違いなさそうだ。また、エルサルバドルなどビットコインを法定通貨にしている国もある。格付けの低い新興国などは、ビットコインを担保に資金を調達したほうがコストが低いと言う現実もあるようだ。

④トランプ発言
 次期米大統領選の有力候補であるトランプ前大統領が、この3月11日にアメリカの大手メディアのCNBCに出演した際に、暗号資産を「取り除きたいと思っていない」と発言したことも価格上昇に勢いをつけたと言われている。

「限りある資産」にマネーが集まる理由とは

価格が高騰している資産には、この他にも不動産市場や絵画などの美術品、貴金属品などがあるのだが、流動性といった点でも株式市場や金そして暗号資産に莫大な資金が集まっているという現実があるようだ。問題はその理由だが、これまで指摘してきたように、これらの金融商品にはいくつかの共通項がある。

まずは、最も大きな要因は2020年から始まった世界的なパンデミックによるものだ。世界中の中央銀行が大量の資金を市場に流出し、「過剰流動性」を引き出した。例えば、アメリカのマネーサプライ(M2)を見ると、2020年には15兆ドル程度だったのが、一気に22兆ドルを超える数字にまで急増している。しかもその水準は現在も横ばいのままだ。

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