「部活をやめても同じくらいの量の食事を取っていたたからでしょうね。その状態で高校に上がり、『ちょっとまずいかな』と思っていた矢先、父親から太ったことをいじられ、腹が立ったんです」
「絶対に元の体型に戻ってやる!」。そう固く決意し、帰宅後にランニングを始めた。
最初は1日3~4キロのペースで。当時、飼っていた愛犬を連れて、一緒に走った。野球部時代もランニングが日課だったため、走ることには慣れていた。「むしろ、野球部時代と違い、自分のペースで走れるのが楽しくて、次第にランナーズハイになっていった」と言う。
大雨の日以外はほぼ毎日走り、気がついたら1日10~15キロ走っていた。過酷なランニングについていけず、その頃には愛犬も嫌悪感を示すようになっていた。
「最初は、私が誘うと尻尾をふって『ウキウキ♪』でついてきたのですが、次第に私が走る準備をすると、逃げるようになりました」
ここまで走りこんでいるので、体重はあっという間、2カ月ほどで元に戻った。しかし、体重が落ちても走ることはやめられない。鈴木さんはますますランニングに邁進する。
半年後、ひざに違和感が
ランニングを開始して半年後。右ひざに違和感と痛みが出始める。だが、これも「走りすぎだろう」ぐらいで、深く考えなかった。
近所の整形外科に行ったのも、「走れなくなると困るから、念のため、診察をしてもらっておくか」くらいの気持ちだった。実際、レントゲン写真では異常はなく、診察した医師も鈴木さんの話を聞いて、「ちょっと走りすぎだよね」。
湿布薬とサポーターを処方され、しばらく安静にするように言われた。
ところが、よくなるどころではなく、2日ほど経つと今度は右足の親指が腫れてきた。「ひざと同じような鈍い痛みで、とても不快でした」と鈴木さん。ひらめくものがあったのか、今度はなぜか近くの内科を受診した。
そして、内科医にひざと足指を見せた。医師は「あっ、これ痛風だね!」。――まさかの診断名だった。
「『えーっ!?』と、声を出して驚いたのを、今でも覚えています」と鈴木さん。
なぜ、誰もが認める健康的な生活をしていた彼が「痛風」になったのか。医師から食生活について聞かれた鈴木さんには1つ、思い当たるふしがあった。「たらスパです」。