「大人の無理解が原因」、不登校の子どもと親がトーキョーコーヒーに集まる訳 自分らしく生きられる世の中をつくるために

(写真:浅野氏提供)
大人も子どもも真剣に遊び、疲れたら休憩。お菓子を食べながら、皆で学校のことや子育てのことをあれこれ話す。最後は、おにごっこや、子どもたちがこの日の遊びを通して考えた「オリジナル玉入れゲーム」を皆で楽しんで終了。主宰者の浅野氏が自ら活動を楽しむ姿が参加者に伝播し、和気あいあいとした空気が印象的だった。
「今の時代に必要なのは、このようなゆるやかなコミュニティだと思うんです。開かれた場所で大人も子どももくつろぎ、つながり、助け合って、学び合う。全部ひっくるめて楽しんでしまえばいい」という浅野氏。
「『トーキョーコーヒー』は、全国に仲間がいて情報共有ができるのも、大きな安心感がありますね。これまで外遊びの活動を中心に行ってきましたが、今後は室内でのんびり語り合う活動も増やしていく予定です」
「時代は変わっていく」という空気を作る
吉田田氏がこのムーブメントを起こしたのは、自身の高校時代、学校に行く意義を見いだせない時期があった経験が原体験となっているという。
「小さい頃から『なぜ勉強しなければならないのか』という疑問を抱きつつ高校生になりました。進学校で、厳しい校則や成績のプレッシャーもあり『こんなところにいるのはイヤだな』と思ったんです。でも、逃げるのも、真正面から反発するのも違うなと。そこで、もともと絵を描くのが好きでちょうど文化祭が近づいていたこともあり、学校の中で何か面白いことをしようと。仲のよい友人たちと、校舎に飾る巨大壁画を描こうと提案しました」
学校は吉田田氏らの提案を受け入れた。だが吉田田氏らが描いたのは、ブラックユーモアの要素があふれた、大人からすれば「文化祭で飾るにはおよそ似つかわしくない」と思われる風刺画だった。
「僕たちが描いた絵を見て、先生たちはひっくり返って驚いていたのですが(笑)、いわゆる“ギリギリの線”を狙いながらもかなり高い完成度にこだわって仕上げたので、むげに叱れないんですよね。その後学校では急きょ職員会議が開かれ、その絵は結果的に文化祭で展示されることになりました。飾られたことはもちろん嬉しかったですが、皆で描いているときのあのワクワク感。今思い出してもたまらないですね。あの経験を通し、『自身の苦しみは、ちょっと視点をずらして皆で行動すれば楽しみに変えることができる』と気づきました」
「トーキョーコーヒー」の当面の目標は、全国に500カ所以上の拠点をつくることだという。
「トーキョーコーヒーの拠点一つひとつを見ると小さな活動ですが、このような拠点が全国に500カ所以上できると『点』が『面』になり、『時代は変わっていくんだ』という空気がじわじわと作られていくと思うんです。教育や社会について、本当の幸せとは、本当の豊かさとは何かについていま一度真剣に考え、自身のこれまでの価値観をアップデートさせること。これが、今を生きる僕たち大人に課せられているミッションだと思っています。このムーブメントをますます加速させ、時代を変える空気を充満させていきたいですね」
(注記のない写真:吉田田氏提供)
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