「大人の無理解が原因」、不登校の子どもと親がトーキョーコーヒーに集まる訳 自分らしく生きられる世の中をつくるために
「子どもが幼稚園から小学校にあがるとき、一斉授業のイメージが強い学校教育に対する漠然とした不安感を抱きました。それまで自由保育の幼稚園で、子どもは自分のやりたいことに没頭する毎日を送っていたのですが、小学校に入学したらどうなってしまうのだろうと。幼稚園時代の仲間たちと子どもたちの体験、経験の場を細々と作り続けていたとき、吉田田さんが『トーキョーコーヒー』を始めることを知り、その思いに共感して2022年9月から月に2回のペースで活動を始めました」というのは、「トーキョーコーヒーあだち・かつしか」主宰の泉美智江氏だ。料理や工作などをしながら対話し学び合う場を設けているという。

(撮影:長島氏)
小学2年生の次女が、時々「学校に行かない」と選択するという泉氏。これまでの集いで、次女のことや学校への思いなどを話してきた。「一人で悩むよりも、大人が集まって皆で何かを楽しみながら話すことで距離が近づき、打ち解けられる、大人も子どもも安心できる場所だと思います」(泉氏)。
同じく主宰を務める薄葉(うすば)藍氏は、小学4年生の長男が、不登校ではないけれどもいやいや学校に行く様子が見受けられることもあるという。「このまま見守りつつ、『行かない』と言い始めたら、そのとき一緒に考えようと思います」という。
ほかにも不登校の子どもをもつ保護者が何人かいたが、全員に共通しているのは、わが子の不登校・不登校傾向を悲観するのでなく、よい意味で“あっけらかんと”とらえていることだ。大人同士の学びや対話を通し、それぞれがそれぞれの方法で心を整え、家族や社会と向き合っていることが伝わってきた。
「今後は、地域のコミュニティスペースで定期的にお話会も開催する予定です。『学校は○○だから』『社会が△△だから』で終わりにするのでなく、どうしたら大人も子どもも幸せな社会になるのかを一緒に考える仲間を増やしていきたいですね」(泉氏・薄葉氏)
大人も子どもも真剣に遊び、疲れたら休憩
「トーキョーコーヒー」の主宰者になるのは、至ってシンプルだ。研修動画を視聴すると主宰者としてのライセンスが付与され、活動を開始することができる(研修費とライセンス付与費合わせて3万円)。
その後は事務局主催のカンファレンスに参加し、吉田田氏の講演を聞いたり他の主宰者とともに場づくりや教育について学んだりするスタイルだ。
動画研修にある教育や子どもへの接し方などを理解し、主宰者がモチベーション高く楽しく活動できれば、活動頻度や内容、参加費などは主宰者が自由に決めることができる。
「主宰者になることへのハードルの低さが、『トーキョーコーヒー』にジョインするきっかけの1つになりました」というのは、「トーキョーコーヒー 立川」主宰で、「こども王子ベジ」という通称で活動する浅野暁彦氏だ。

(撮影:長島氏)
「とにかく子どもが大好き」という浅野氏は、放課後等デイサービスに勤務後、現在はフリーランスのベビー、チャイルドシッターとして活動している。
「『トーキョーコーヒー八王子』で開催した流しそうめんの会や、吉田田さんとのトークライブのときにたまたまチャイルドシッターとしてサポートさせていただいたことをきっかけに『自分も主宰者になってみたい』と。吉田田さんからも『やってみたらいいやん』とお言葉をいただき、2023年の夏から活動を始めました」
この日は、多摩川緑地・立川市民運動場の一角に数組の親子が集まり、「タッグタッグこんにちは」というイベントを開催。子どもも大人も皆がプレーヤーとなり、さまざまなタッグを組んで体を動かすゲームで楽しむ。
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