LINEヤフー、総務省も呆れ果てた「変わらぬ体質」 情報漏洩で行政指導、資本関係見直しの行方は
資本関係の見直しに踏み込むとなると、焦点はソフトバンク側の対応だ。
総務省は3月5日、ソフトバンクの宮川潤一社長も霞が関の庁舎に呼びつけた。「適切なガバナンスを構築するためにLINEヤフー社から(経営体制見直しなどの)要請があった場合は、親会社のソフトバンクにも協力してほしいと伝えた」(総務省の担当者)という。
これを受け、ソフトバンクは「親会社として実効的なセキュリティガバナンス確保の方策を検討」していくとのコメントを出した。
LINEヤフーの時価総額は約3兆円。ソフトバンクが出資比率を高めるには、NAVERとの交渉に加え、相応の出費が求められる可能性も出てくる。
シティグループ証券の鶴尾充伸シニアアナリストは3月11日付のレポートで、LINEヤフーによる自己株買い、およびソフトバンクによるNAVERの保有株買い取りを組み合わせることで、NAVERのAHDに対する出資比率の引き下げが進められる可能性が高いと予想している。
これら株式の買い取りの原資として、LINEヤフーとソフトバンクの連結子会社であるPayPay株の売り出しがポイントと鶴尾氏はみる。PayPayは株式上場の方針を示しつつも、その時期は長らく未定とされてきたが、「2025年3月期中にも、IPOが進められる可能性は高まる」(鶴尾氏)。
中長期的な拡大戦略にも影
もっとも、NAVERとの資本関係を見直せば、問題が解決されるわけでもない。中央大の石井教授は「LINEヤフーが自社内でセキュリティ措置を講じられるよう、組織体制を現場から変えていくプロセスが必要だ」と説く。
今回の一件はLINEヤフーの拡大戦略にも影を落としかねない。同社の川邊健太郎会長は2023年11月、東洋経済の取材に対して「GAFAMに対抗するため、日本国内の業界再編を仕掛けたいと思っている」と語っていた。
だが、ITプラットフォーマーの根幹をなすユーザーの情報管理でつまずいている現状、大がかりなM&Aなどを仕掛ける余裕はないだろう。ずさんな体質を根本から改めることができなければ、国内最大のITプラットフォーマーの地位も安泰ではない。
総務省が下した鉄槌は、”行政指導”という名以上に、LINEヤフーに重くのしかかっている。
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