医師が明言、がん診断時に「必ず確認すべき」3つ 進行したがんや再発がんは治癒することは困難

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患者さんが術後の抗がん剤治療に積極的にならないのは、こうした説明が医師からきちんとできていないという、医療側にも責任の一端があると思っています。

がんで寝たきりになることは少ない

そして、進行がんの場合の治療方針ですが、転移が見られるほどの進行したがんや再発がんは、治癒することは困難です。

だからこそ、自分の人生で大切にしていることを最優先する治療になります。

できるだけ旅行に行きたい、おいしいものを食べたい、そういう希望を医師に伝えてください。

ステージ4の進行がんでも、当初は身体的な痛みがそれほどあるわけではありません。痛みが出てくるのは、本当に最期近くになってからです。

がんで寝たきりになることは少ないのです。

最期に近い1か月前ぐらいまでは元気に過ごす患者さんが多いです。

だから好きなことや、やりたいことを諦めないでください。

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苦痛でしかない治療では意味がありません。

ご自身の楽しみや生きがいをずっと続けてほしいと思います。

進行がんの場合は、人生の楽しみを諦めないために治療があります。

ステージ4も再発がんも、末期がんではありませんし、天寿をまっとうすることができます。

私の患者さんで、ステージ4で世界旅行に何度もチャレンジされている方もいます。

治療も、やれることがあります。

その点を、どうか誤解しないでいただきたいと思います。

勝俣 範之 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授、部長、外来化学療法室室長

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かつまた・のりゆき / Noriyuki Katsumata

1963年山梨県富士吉田市生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業後、国立がんセンター中央病院内科レジデント、内科スタッフ。国立がんセンター医長などを経て、2011年より現職。あらゆる部位のがんを診られる「腫瘍内科」の立ち上げは、当時の日本では画期的であった。国内における臨床試験と抗がん剤治療のパイオニアの1人。2022年、医師主導webメディア「Lumedia(ルメディア)」を設立、スーパーバイザーを務める。日本臨床腫瘍学会指導医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。

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