「米国インフレ懸念継続」でも金を買っていいのか 価格が下がるリスクもあるが反転も早い?
それでも、金価格は3月に入ってから急騰、最高値をつけている。だがこれは1日に発表された2月のISM製造業指数やミシガン大消費者指数が弱気の内容となり、景気の先行き不透明感が強まったことをきっかけにポジション調整の買い戻しが一気に加速したことによるものだろう。
月が替わったところで、資金の移動が起こりやすかったこともあって、
値幅はかなり大きなものとなっている。だが、あくまでも一時的な買い戻しによるものであり、中長期的なトレンドを変えることはないと考える。
金市場は、ほかの商品市場と異なり、現物市場での需給バランスがほとんど相場の変動要因にならないという特徴がある。それだけに、金融市場の動向には、どうしても大きく振り回されてしまうことになってしまう。
インフレ高止まりに対する懸念がアメリカの長期金利を高止まりさせ、ドル高が継続している状況下では、投機的な売りの勢いもかなりのものになると、見ておいたほうがよい。
もっとも、現在のようにファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が刻一刻と変化している状況下では、金市場でトレードするチャンスも、それだけ多くなると考えてよい。
金融緩和の状況が整えば、金の買い意欲が一段と高まる
経済の状況が変化するときに真っ先に反応するのは金利であり、その金利の動きに対する金の反応もまた大きなものとなるからだ。FRBの利上げ効果がいよいよ表れるようになり、景気や雇用の悪化が進めば、いずれかの時点でインフレも本格的に後退するはずだ。
もしFRBが自信を持って金融緩和を進められる状況が整えば、アメリカの長期金利低下やドル安が支えとなる中で、金に対する買い意欲が一段と強まる可能性が高い。2000年初めのITバブル崩壊や、2008年のリーマンショックの際も、危機を脱した直後には他の市場に先駆けて金価格が上昇に転じていることも忘れてはならない。あとは、そうした転換点がいつやってくるのかという、タイミングの問題だけとなりそうだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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