松本人志氏の活動休止で一般企業が学ぶべきこと 即座に「事実無根」と強く否定することの是非
一般の企業でも、経営者や従業員の不祥事が報道されることがあります。そのとき、今回の吉本興業やホリプロコムのように、即座に「事実無根」と強く否定するケースをよく見受けます。
これは、どういう心理、どういう事情によるものでしょうか。大きく次の3つが考えられます。
① 社内調査を行った結果、事実無根だと判明した
② まだ事実確認をしたわけではないが、「わが社の従業員がそんな不誠実なことをするはずがない」と確信した
③ 不祥事の事実が確認されたが、「どうせバレないだろう」と判断した
条件反射的に「事実無根」とするのは危険
このうち①の場合、「事実無根だ!」とアピールしたいところですが、多数の従業員が社外の時間も含めて不祥事が「まったくない」と言い切るのは、かなり困難です。調査結果を公表し、「疑念を招かないように今後は注意したい」とするくらいが穏当でしょう。
日本企業は従業員を大切にするので、②が多いかもしれません。ただ、誠実な従業員でも、魔が差すことはあります。経営者が従業員を信じるのは大切ですが、危機管理は性悪説に立つべきです。「早急に事実確認し、〇週間をメドに調査結果を公表します」とするのが適切でしょう。
ご法度なのが、③です。以前なら、社内の出来事はあまり表沙汰になりませんでしたが、いまは社内のあることもないこともSNSに晒されます。「どうせバレないだろう」と考えて傷口を広げるのが、最悪のシナリオです。誠意を持って謝罪し、今後の対策を約束するのが妥当です。
もちろん、今回の吉本興業・ホリプロコムが3つのどれに該当するかは現時点ではわかりません。ただ、いかなる場合でも、条件反射的に「事実無根」と表明するのは、クライシスコミュニケーションとして不適切なのです。
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