「根深い親子のバトル」より深刻な「ネオ・ネグレクト」の親、塾を託児所代わりに 子の「他責言葉」に注意、親のために受験は危険
一方で、私が「根が深い」と考えるのは、子どもが他責的な言動をとるバトルです。例えば、「今回のテストの得点が悪かったのは、自室で勉強しているときに弟がやってきて騒いだからだ」「ママやパパがプレッシャーをかけたから、今回の試験は集中できなかった」――などです。子どもが他責的な態度をとるのが問題である理由を説明します。
「親のために中学受験」をしている子は他責的な言動をとる
中学受験に向けて勉強する子が他責的な態度をとるのは、「他人のための受験」になっているからです。この場合、「他人」の多くは親になります。「親が勧めるから仕方なく塾に通っている」「親が中学受験をしろと言うから従っているだけ」……こんな思いが子どもの心の内でくすぶっている可能性があります。つまり、中学受験が「自分事」になっていないのです。
言うまでもなく、中学受験の主役は子ども自身です。進学先で6年間を過ごすのも、そこに向けて勉強に専心しなければならないのも子ども自身。中学受験の勉強は順風満帆にはいきません。壁にぶつかり、スランプに陥ることもあるでしょう。そのタイミングで心がポキンと折れてしまう子は、他責的な言葉を口にすることが多いのです。
バトルが起きたら、親はわが子の言葉の「質」をチェックする必要があります。もし、わが子の言葉に他責的な言い草が目立つ場合は「根が深い」問題と捉えて、「どうして中学受験をするのか」「中学受験勉強を通して何が得られるのか」など、親子間で膝を突き合わせて話す機会を設けるべきでしょう。わが子が中学受験に消極的で、今後も「受け身」の態度が変わらなさそうであれば、中学受験をあきらめるのも一案です。
わが子に関心を持たない「ネオ・ネグレクト」する親たち
とはいえ、親子でバトルができるということは互いに「向き合っているから」だとも言えます。というのも近年、わが子の小学校生活・習い事・中学受験に目もくれない保護者が気になるからです。
百歩譲って、共働きで余裕がないのならまだ理解できます。しかしこれは、そういう家庭に限った話ではないのです。
私の塾に問い合わせてきた保護者の中に、こう切り出す方がいました。
「ここは毎日自習室を使えますよね。毎日通わせようと考えているので、勉強面はすべてお任せしてよろしいですか」
わたしはこう返答しました。
「お子さんはまだ低学年です。毎日来るのは大変だと思いますよ。また、塾に通い始めてしばらくは、親御さんにも学習管理をお願いしたいのです。簡単でよいので1週間の学習計画表を作成し、何曜日の何時からどの科目に取り組むか、宿題をちゃんとこなしているか……こんなふうに付き添ってあげられないでしょうか。塾に慣れてきたら、徐々に手を離して大丈夫です。5、6年生になるころには自力で受験勉強ができるように導きますので」