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アンガールズ田中「4年目でブレイクした僕の地獄」 「ジャンガジャンガ」に追われる僕を救った一言

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それから10年が経ち、蛭子さんと二人でドライブをするという仕事があった。

二人きりでガッツリ喋るのは対談した時以来だったので、その時に助けてもらったことを10年ぶりに打ち明けてみた。

「蛭子さん、僕ね、実は蛭子さんが心の恩人なんですよ」

「え? 僕が? 何で?」

「10年前に対談した時に、蛭子さんが僕に言ってくれたことがあるんです」

「え? 対談なんてしたっけ?」

「……。えっ……」

10年ぶりの会話は全く噛み合わなかった

蛭子さんは、そもそも僕と対談したこと自体覚えていなかったし、その時言ってくれたことに感謝しているんですと伝えても、へ~そんなこと言ったのか~全然覚えてないな~と答えて、全く噛み合わなかった。今思い出しても笑ってしまう。

その日唯一噛み合ったのは、たまたま、僕も蛭子さんもオレンジ色のVネックのセーターを着てきたこと。

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ロケでは蛭子さんが僕の似顔絵を描いてくれて、その絵は部屋のリビングに飾った。

それが、6年前の話。

先日、蛭子さんが軽度の認知症になったというニュースを見た。

認知症になる前から、僕との対談のことを忘れていたくらいだから、多分、蛭子さんは今聞いても「そんなことあったっけ?」と僕の似顔絵を描いたことも、同じ色のセーターを着ていたことも忘れてしまっているかもしれない。

「そもそも世の中の人、そんなに君を見てないよ」

もし蛭子さん自身がこの話を忘れてしまったとしても、あの時の僕のように必死にもがく誰かがこの言葉に救われることを願いながら、この文章を書いている。

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