アンガールズ田中「4年目でブレイクした僕の地獄」 「ジャンガジャンガ」に追われる僕を救った一言

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それから漫画のことを色々話して、僕は今の悩みを蛭子さんにぶつけてみたくなった。

最後に、ちょっといいですか? 僕は毎日、仕事で滑っているんです。でもブレイクした勢いだけはあるから滑っても仕事が来る、どうすればいいかわからないです、と……。

今考えたら、なぜそんなことを芸人でもない蛭子さんに聞いたのかはよくわからないし、そもそも、そんな悩みを持っていることを知られるのが恥ずかしくて、誰にも言いたくなかった。

でも蛭子さん自身が、ギャラがもらえれば何でもいいとか言ってしまえる、心のガードがゼロな人だから、こちらも心のガードがついつい緩くなってしまったんだと思う。

「そもそも世の中の人、そんなに見てないよ」

僕が質問すると、蛭子さんは「う~ん」と5秒くらい考えて、

「僕はね、以前、競艇雑誌とエロ雑誌で、同時期に漫画の連載をやってたの。で、たまたま、その両方の締め切りが一緒に来ちゃって、大慌てで漫画を描いて封筒に入れて編集部に送ったんだけど~、1週間くらいして、あーっ! と気づいたんだけど~、競艇雑誌の方にエロ漫画を送って、エロ雑誌の方に競艇漫画を送ってたの。やばいな~? って思って焦ったんだけど、誰にも何にも言われないからその雑誌を立ち読みしてみたら、両方ともそのまま掲載されてたんだよね~。だから田中君も滑ったとか気にしてるけど、そもそも世の中の人、そんなに田中君のこと見てないよ」

と言った。

一瞬、腹の立つことを言われたような気がしたけれど、確かに人の目を気にしすぎていた自分にも気づいた。よっぽどのファンじゃない限り、どこで誰がどのくらいウケて、どのくらい滑っていたかなんて、覚えていない。

僕は、1回滑ったら、全国民がそのことを覚えているのではないかと思ってしまっていた。蛭子さんの言葉で、この1ヶ月の悩みがパッと晴れて、気持ちが落ち着いた。

蛭子さんはその時、七福神の恵比寿さんのように神々しく輝いて目の前に座っていた。

それからは滑っても気にしすぎず、できることをまずしっかりやろうという気持ちになり、仕事を少しずつ楽しめるようになっていった。

この対談がなかったら、僕はプレッシャーに潰されて、芸能界からリタイアしていたかもしれない。

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