アンガールズ田中「4年目でブレイクした僕の地獄」 「ジャンガジャンガ」に追われる僕を救った一言

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ゴールデンの番組に出るのが初めてだったので、正直こんなネタを流して大丈夫かなと思っていたが、本番ではスタジオにいる爆笑問題さんや、ネプチューンの名倉さん、ふかわりょうさんら先輩方が、めちゃくちゃ笑ってくれた。そしてすぐにその番組から「こないだみたいなショートコント、沢山作って!」とオーダーが来て、それからは番組で毎週、ジャンガジャンガをやることになった。

お笑いブームの波に乗り、番組に次々と出られるように

それまで、深夜番組には何度か出たことがあったけれど、ゴールデンの番組のパワーは凄まじかった。僕たちはお笑いブームの波に乗って、「笑っていいとも!」や「アッコにおまかせ!」、「踊る!さんま御殿!!」など、それまで出られるはずがないと思っていた番組に次々と出られるようになった。

「エンタの神様」に出られない芸人というコーナーで出て来たのに、「エンタの神様」にも毎週出られるようになった。ジャンガジャンガは流行語大賞にノミネートされたり、女子高生に「キモかわいい!」と言われたり、何もかもが変わった。

同時に、今まで自分の人生で感じたことのない、重苦しいプレッシャーという冷たいコンクリートを、背中にドンッと乗っけられた気がしていた。

4年目でブレイクというのは芸人にとってかなり早い方で、当然実力に関しては全くというほど無い。トーク番組やリアクション番組に他の芸人さんと一緒に出ると、明らかに自分の実力不足を感じた。

もちろん、芸歴4年以内で売れてもトークやリアクションが面白い人はたくさんいる。けれど、自分には何もかもが足りていない。

コントだけやっていれば芸人としてなんとか誤魔化せていたメッキみたいな輝きが日に日に剥がれて、自分が追い詰められていった。

そして、4年の間に溜めてきたネタも底をつくことになる。「エンタの神様」の収録が明日に迫っているのに、披露するネタがまだ出来ていないという状態になり、前日に一人でファミレスに籠ってネタを考えていた。

深夜0時………1時……………2時、まだ案が浮かんでこない。3時を過ぎた頃にやっとアイデアが浮かぶ。

しかしアイデアが浮かんでも、それをまとめていくのに眠くて頭が回らない。今日の収録が何らかのハプニングで無くならないか? という気持ちが浮かんできては、そんなことあるわけがないと、逃げ道が全くないことに気が付く。

4時を過ぎ、空が白くなってくるのが地獄の幕開けに感じられた。朝5時にようやくネタが完成して、それを山根のところにFAXで送り、家で必死に覚える。そのあと9時にテレビ局に集合、ネタ合わせをしてリハーサルをして、昼過ぎにはお客さんの前で本番。

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