ただの運動オンチだと思ったら、実はDCD「発達性協調運動障害」の可能性も 極端に不器用で生活にも影響が出ていたら…

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DCDという発達性協調運動障害をご存じだろうか。あまり知られていないために、必要な支援を受けられずに困っている子、保護者も多いという。教員など学校現場はもとより、社会でDCDに対する認知が広がれば、生きやすくなる子どもたちがたくさんいる。DCDとは、どんな発達障害なのか。オチョのうつつ著・古荘純一監修『なわとび跳べないぶきっちょくん ただの運動オンチだと思ったらDCD(発達性協調運動障害)でした!』より一部抜粋、再構成して紹介します。

ブランコがこげない、すべり台を横向きにすべる、シャボン玉を作れない、キックバイクをこげずに倒れるなど、「それくらいよくあること」「まだ筋肉や体幹がしっかりしていないから」と見過ごされることも多いDCD。

DCDは「発達性協調運動障害」のことで、発達障害の1つのタイプです。行動や運動の時にぎこちなさが見られたり、手先が不器用な子どもに対して「運動オンチ」「運動神経が悪い」「こういう子は昔からいたから」と思っている人にとっては、単に手先が不器用なだけでそれほど困っているようには見えないのかもしれません。

しかし、協調運動に障害があると、体育で行うなわとび、ボール投げ、水泳はもちろんのこと、字を書く、体を洗う、ボタンを留める、などの日常動作すべてにおいて不器用なことで不都合が起こってきます。

ここでいう不器用さとは、動作に時間がかかる、あるいは不正確である、ということです。例えば、黒板の字をノー トに書き写そうとしたら、時間がかかって先生のペースに追いつかない、急いで書けば、汚い字になり不正確で読み返してもわからない、板書ができないということになります。

着替えなどの準備に極端に時間がかかって集団行動に支障がでることもあります。答えがわかっているのに文字を書くことに時間がかかりテストの点数が悪い、大人になると仕事の手順が悪いと批判されるなど、本人の運動能力の困難が、日常生活活動、学業・職業活動や余暇活動などに重大かつ持続的な制限を引き起こします。

このように、個性の範囲を超えて、周囲からの配慮が必要なほど、動作の不器用さが目立つのがDCDの診断のポイントとなります。

小学校に上がってぶつかった問題とは

本書に登場する主人公のウノくんも、まさに小さい頃から体の使い方が不器用でした。お母さんも違和感を感じていましたが、乳幼児健診で指摘されたこともなく、夫やママ友に相談しても「気にしすぎ」「まだ小さいから大丈夫」という反応がほとんど。かといって病院に行く勇気もなく、不安を抱えたまま小学校に入学することになります。

運動オンチとDCDは何が違うのか

字がうまく書けない、外遊びが苦手、休み時間や放課後に周りの友だちと遊ぶことにも支障が出てくるようになります。学校生活にすっかり疲れ果ててしまったお母さんですが、ウノくんが4年生の時にDCDという言葉に遭遇します。

DCDの有病率についてWHOの診断概念では、5〜11歳の子どもの5〜6%だといわれ、最大10%の子どもにDCDの可能性があり学業や社会的機能に影響を与えかねない可能性を指摘しています。ADHDやASD、LDなどほかの発達障害と合併することが多いとされ、併存した症状で気づかれることがあります。

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