ただの運動オンチだと思ったら、実はDCD「発達性協調運動障害」の可能性も 極端に不器用で生活にも影響が出ていたら…

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そのような場合は、残念ながら、ほかの発達障害への対応が優先されてしまいがちです。しかし、運動機能の不具合は70%以上の割合で青年期以降も持続するとされているため、発達障害の子どもには運動機能の評価も合わせて行う必要があります。

幼児期には滑舌が悪い、姿勢を保てない、食べ物の飲み込みがうまくいかない、など一見運動とは関係ない症状が見られることもあります。歩行がぎこちない、顔をうまく洗ったり拭いたりできない、ブランコや滑り台で遊べない、お遊戯ができない、といった困りごとから気づかれるケースもあります。

学童期には、靴ひもが結べない、着替えや身支度に時間がかかる、ボタンが留められないなどの生活習慣の問題、球技が苦手、泳げない、なわとびができないなど体育の苦手さ、そして、文字がうまく書けない、楽器の演奏が苦手、作図や筆算、工作など、すべての授業の教科に不器用さが見られることもあります。

DCDとわかってから学校が楽しくなった理由

ウノくん親子は、DCDという診断が下りて、生活が一変していきます。

このあと、お母さんはウノくんが暮らしやすくなるにはどうしたらいいか、アプローチを変えました。理解のある学校の先生と出会い、授業や行事への向き合い方だけではなくクラスにおけるウノくんの様子も変わっていきます。

なわとび跳べないぶきっちょくん: ただの運動オンチだと思ったら、DCD(発達性協調運動障害)でした!
『なわとび跳べないぶきっちょくん:ただの運動オンチだと思ったら、DCD(発達性協調運動障害)でした!』(合同出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

繰り返しになりますがDCDは、発達障害の1タイプで、育て方の問題や本人の努力不足ではありません。学校関係者にも、発達障害であることを明確に伝えましょう。「診断がついたところで、治療法はない」と悲観してしまうかもしれませんが、学校では合理的配慮を求めることができます。

配慮や支援を受けられれば、子どもたちの生活の質やものごとへの意欲は変わっていきます。また合併しやすい不安や不眠に対しては、医療的な支援を受けることができます。学校の先生の理解も対応もさまざまです。担任に相談しても変化がないときは、学年主任や、養護教諭、そして副校長、校長など、2〜3名に相談をしてみましょう。頭ごなしの相談ではなくステップを踏むことで新たな展開が開けるかもしれません。

学校の先生や、親戚を含めた家族の人の中には、自分の経験を尊重し、他者の意見や書籍からの情報をさほど尊重しない人もいます。できないのは甘えだ、などと「根拠のない精神論」を唱えがちです。そのような人に振り回されないことです。 子どもたちにも、文章よりも漫画や動画を使って伝えると、また違った反応があるかもしれません。DCDの子どもを支援するには医学的な知識に基づいて、本人の困りごとを理解し、対応することが必要です。

(画像:すべて合同出版提供)

執筆・漫画:オチョのうつつ
監修:青山学院大学教授 古荘純一
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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