いよいよ3カ月後に迫った台湾総統選挙。野党候補が3人と乱立して与党候補が優勢な中、候補の1本化が話題となっている。(台湾政治研究者・小笠原欣幸氏の連載第8回、前回記事はこちら)
台湾総統選挙は来年1月13日の投票日まで3カ月を切った。台湾の世論調査では与党・民進党の頼清徳候補が引き続きリードしている。野党・国民党の侯友宜候補と民衆党の柯文哲候補はある程度引き離されて2位を争っている。8月末に出馬表明した無所属の郭台銘氏は現在立候補資格を得るための署名集め中であるが、支持率は4位で低迷している。
台湾の世論調査は政治的立場・思惑が強いものも多いが、すべての調査で頼氏がリードしている。仮にこのまま4氏が競うことになれば、頼氏の当選は確実といえる状況になってきた。
ようやく始まった野党候補一本化交渉
頼氏の先行に野党支持者の焦りは深まっている。世論調査では政権交代に期待する声もかなりあるが、野党が分裂していては頼氏に勝つのは難しい。野党陣営は候補一本化という奇策でこの状況を覆したいと考えている。
台湾では国民党のシンボルカラーの藍色と民衆党のシンボルカラーの白色をとって両党の連合を「藍白合」と呼ぶ。今台湾政界では「藍白合」が最大の話題だ。
一本化のわかりやすい決着の仕方は侯友宜氏と柯文哲氏がペアを組んで、総統・副総統候補に収まることだ。両党の理念や政策には違いがあるものの、政権交代で一致しており、詳しいことは勝ってから詰めるというのが野党連合推進者の考え方だ。ただ、ここで問題になるのは副総統には実権がないので、「副」に回った候補の支持者が納得するのは難しいということだ。
10月上旬、双方が連合に向けた交渉の代表者を発表した。国民党は選対本部の金溥聰執行長と黃健庭秘書長の2人、民衆党からは選対本部の黃珊珊総幹事と主席弁公室の周榆修主任の2人だ。10月15日には、この4人が会談して初めての交渉が行われた。会談では勝利した場合の連立政権の方向について合意したので大きな進展があったように見えたが、肝心の候補一本化の方法では主張に隔たりがあるままに終わった。
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