不登校29万9048人で過去最多、「日本の教育」はすでに崩壊していると言える訳 大人の同調圧力が子どもを追い詰めている

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ホッとスペースは月曜から金曜までで、うち4日は心理士、養護教諭、教諭の資格を持ったNPO法人の職員が滞在、残りの1日は生活指導支援員が滞在している
(写真:友渕中学校提供)

これらの校内フリースクールには、決まった時間割はなく、何かをしなくてはいけないという決まりもありません。そう聞くと、「校内にそういう場所があったらますます教室に行かなくなるのでは。教室にいる生徒との公平性はどうなる」と危惧する人もいるかもしれません。しかし、30万人近くが長期欠席の不登校になっている事実を考えれば、その子どもたちが社会とつながる場所を確保する必要があるのです。

以前、不登校特例校(8月から学びの多様化学校と名称変更)の記事を書きましたが、そこでも子どもたちが安心していられる居場所づくりがテーマでした。そのときに特例校という言葉に違和感を感じたこと、ここの取り組みが一般化していけばいいのにと思ったのですが、校内フリースクールはその一歩とも言えるでしょう。

不登校の原因は「豆腐メンタル」と「親の過干渉」!?

一方、子どもたちが安心して過ごすためには、ただスペースがあればいいということではありません。

不登校約30万人という数字について、「あのつまらない場所にいればそうなるだろうなと思った。すでに学校制度は崩壊している」と言うのは、教育革命家/やる気いっぱい幸せいっぱいクラスの請負人を自認する元小学校教員の梶谷希美さん。「今のさまざまな問題の原因は、明治以来続いてきた日本の学校教育のシステムにある」と言います。

先生の役割についても「そもそも1人で40人近い生徒を見るには、かなりの講師としてのスキルと高度なマネジメント力が必要だけれど、教員はそんな教育を受けて教師になっていない。しかも小学校の先生はどの教科も教えなくてはいけないうえに、英語やプログラミングまで乗ってきた。どんなに学んでも、学んでも追いつくはずはなく、そのうえ保護者対応や事務処理までこなすことが求められる。どれだけすごい人材を求めているのかと言いたい」と力説します。

梶谷さん自身は、13年前に学級崩壊のクラスのサポートに入って以来、学級経営、心理学、コーチングなどありとあらゆる本を週に20冊は読み、学校以外の場所にも出かけて学び、学級崩壊をさせないマネジメント術を構築し、数々の学級崩壊に陥っているクラスを立て直してきたそうです。そして、退職後は未来学園HOPEを立ち上げ、不登校の生徒や保護者の支援をしながら、しあわせ先生塾を主宰し、先生にその方法を伝えています。

「大人の役割は道案内」だと言う梶谷さんが子どもたちと接するときに心がけているのは、その子の持っている可能性を信じること。そのうえで、あくまでも一人の人として接することだそうです。そんな大人の姿を見て、子どもたちもだんだん変化し自立していくのだとか。やはり、子どもとの信頼関係は重要です。

もう1つ、私が不登校の原因として気になるのが、生活リズムの乱れです。実際、不登校の原因の11.4%が生活リズムの乱れ、遊び、非行になっていますし、生活リズムの乱れは、原因の1位に挙がる無気力や不安にも影響を及ぼすからです。

のんのん先生も、10年くらい前から子どもたちの変化を感じるようになったそうで、以前なら厳しい指導に対して反抗してきたけれど、今はちょっとした一言で心が折れてしまう。豆腐メンタルだと言います。その原因は2つあると、のんのん先生は言います。

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