「9カ月の赤ん坊もさらわれた」ハマス奇襲の瞬間 イスラエルでは約150人が人質になっている

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しかし、歴史上最悪の災害の渦中にあるイスラエルにとって、今はそのような交換を検討する時ではないとフラタは主張する。

フラタは、イスラエルの攻撃で捕虜が殺されるかもしれないことを認めた。しかし、それはおそらく「人間の盾として彼らを配置した」ハマスの責任だろう、と同氏は語る。「私は全員を帰国させたい。しかし、相手側がこれで逃げ切れると思っている限り、それはできない」。

「家の中にテロリストがいる」

過去には、イスラエルとハマスが捕虜をめぐって交渉する際、エジプトとカタールが仲介役として重要な役割を果たした。しかし、今のところ、捕虜を解放するための直接交渉というよりは、「メッセージを伝える段階」にとどまっている、とイスラエルのベテラン情報機関職員で、捕虜や行方不明のイスラエル人に関する国内責任者を5年間務めたヤロン・ブルムは言う。

「私の評価では、彼らはこのメッセージを伝えている。『(今回の件は)ハマス側に責任があり、老人、女性、赤ん坊、兵士の頭髪が1本でも触れられれば、イスラエルは暴動を起こす』ということだ」

ヨニ・アッシャーの悪夢は、7日の早朝、妻のドロン・アッシャー・カッツとの電話から始まった。小声でアッシャー・カッツは、自分と母親、そして2人の小さな娘が、ガザ国境近くの村にある母親の安全な部屋に閉じ込められていると言った。「母は私に、『家の中にテロリストがいる』と言った」とアッシャーは振り返る。

その後、さらに悪い知らせが飛び込んできた。アッシャー・カッツの母のパートナーであるガディ・モーゼスが、侵入者と説得するために隠れていた場所から出て行ったのだ。

「彼女は『彼らは出て行ったが、パートナーを連れ去っていった』と語った」とアッシャー。37歳のアッシャーは、せめて配偶者と子どもだけでも無事でいてほしいと願った。しかし、その後電話線が不通になった。

アッシャーが妻と連絡を取ったのはそれが最後だった。遠隔操作で妻の携帯電話を追跡したところ、その端末が土曜日にガザ南部に持ち去られたことがわかった。

その後、誘拐されたイスラエル人が武装したガンマンによってピックアップトラックの荷台に括り付けられ、ガザを走っている映像がソーシャルメディアに出回った。そのビデオでは、ガンマンが女性の頭に目隠しのようなものをかぶせようとしていたという。

アッシャーはその女性に見覚えがあると言った。それは彼の妻だった。娘のラズ(5)とアビブ(3)、そして義母のエフラット・カッツ(67)も一緒に押しつぶされていたという。

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