妊婦の生きにくさは、明日の私たちの生きにくさ 『わっしょい! 妊婦』書評

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『わっしょい!妊婦』小野美由紀 著
わっしょい!妊婦(小野美由紀 著/CCCメディアハウス/1870円/312ページ)
[著者プロフィル]小野美由紀(おの・みゆき)/作家。1985年生まれ。ウェブメディア・紙媒体で精力的に執筆しつつ、SFプロトタイパーとしてWIRED主宰「Sci-Fiプロトタイピング研究所」の事業にも参加。著書に『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』など。

もっと早くに読みたかった、というのが率直な感想である。作家による自身の妊娠・出産の一部始終の記録。ノンフィクションやドキュメンタリーと呼ぶよりは、「これぞエンターテインメント」といいたい読後感だ。

具体的にいえば、周囲に妊娠・出産の当事者が多かった20代から30代の間に本書を読んでいたら、どれほど彼女たちを見る目が変わっていたか、できることがあったのではないかと。しても始まらない後悔には違いないが、そう思わずにはいられなかった。

妊娠エンターテインメント

「子どもなんて、ぜーんぜん、欲しくない」と思っていた著者は、35歳でパートナーを得た途端、「入道雲のようにむくむくと」湧き上がってきた衝動に突き動かされ、10歳年上の夫と不妊治療に臨むことになる。

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