
郵便局の裏組織 「全特」――権力と支配構造(藤田知也 著/光文社/1980円/368ページ)
[著者プロフィール]藤田知也(ふじた・ともや)/朝日新聞記者。早稲田大学大学院修了後、2000年に朝日新聞社入社。盛岡支局を経て、02〜12年『週刊朝日』記者。経済部に移り、18年4月から特別報道部、19年9月から経済部に所属。著書に、『強欲の銀行カードローン』などがある。
郵便局の建物は多種多様である。デザインもさることながら、ビルに入居していたり、住居と一体化していたりする。多様性が生まれる理由の1つは、相当数の郵便局舎が郵便局長の私有物であることだ。
2007年の郵政民営化前、郵便局長個人の影響力が強いそうした郵便局は「特定郵便局」と呼ばれていた。全国に約2万4700あった郵便局の約77%、東京都内では駅ビル内の郵便局などを含む9割以上が特定郵便局だった。
郵便局長会による政治活動
当時の特定郵便局長は公務員でありながら試験ではなく「選考任用」という仕組みで採用され、コネによる世襲の局長も多かった。ほかの公務員と違って転勤もない。このため、戦前から地域の名士であった郵便局長は地域と密着し、自民党を支えてきた。
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