1ドル150円を再突破!円安と日本経済が持つ課題 日米金利差も国際収支も日本の実力が問題だ

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円安が加速する要因、円安の構造的要因

経常黒字の最大要因は日本企業が海外の子会社から受け取った配当や債権の利子などが計上される「第1次所得収支」だ。2023年上半期で17兆5286億円の黒字だが、これらは実際には円に転換されず、海外現地での再投資に回されるケースが多数とみられる。

かつては日本の主力産業の一角だった電気機器は2022年下半期に輸入額が輸出額を上回り、データをさかのぼれる1988年以降初めて赤字に転落した。海外への生産移転による国内の空洞化に加え、iPhoneなど海外製品との競争で劣後する状態が如実に表れている。

さらにJPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は『週刊東洋経済』のコラム(9月27日に『東洋経済オンライン』で配信)で食料品や医薬品などの必需品を輸入に頼っているほか、動画配信や音楽、オンライン会議システムなどを提供するアメリカIT大手企業からのサービス購入も円売りという形で国際収支に影響して、円安が加速する要因になっているという。為替相場とインフレ率の差を勘案した円の実質実効レートではすでに1970年代以来の50年ぶりの安値である。

円安もあり、旅行収支は2023年7月単月で3368億円の黒字と過去最高となり、インバウンド(訪日外国人観光客)が円安に一定の歯止めをかけそうだ。しかし、長期的には日本の産業・経済力の強弱が円安の構造的要因になっていることを意識する必要がある。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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