今回の「ジャニーズ会見」どうにもモヤモヤした訳 東山社長の受け答えなど改善した点もあったものの…
続いて井ノ原快彦さんが「すいません。はじまる前に1つお願いさせていただいてもよろしいでしょうか?」と断りを入れつつ、「現在ですね、SNSなどで被害に遭われた方々に対する誹謗や中傷が起こっております。本当にやめていただきたいなと思います」「被害に遭われた方は、本当につらい思いをして1人でずっと抱え込んでいたんだと思います。それがようやく声をあげられた。その勇気をやっぱり僕は無駄にしたくないです。そしてその勇気があったからこそ、この会社が大きく変わろうと、そういうふうな動きになったんだと思います」とコメント。
9月7日ではあいまいだった「誰を最優先しなければいけないのか」を明確にし、徹底的に被害者と向き合う姿勢を示したのです。2人が見せた冒頭のあいさつは、「『力を合わせてやっていくんだ』という内外に向けた意思表示をする」という意味で意義深く、この約1カ月で会話を重ねて意識や方向性が一本化された様子がうかがえました。
ここから東山社長は社名変更や被害補償などを語っていくわけですが、気になったのは、ほぼ下を向いて原稿を読むような姿勢だったこと。また、「コンテンツ企業」「エンターテインメント関係」「タレントマネジメント」「アップデート」「私たちのビジョン」「藤島氏よりレターを」などのカタカナ語を多用するなど、「用意された原稿を読んでいるだけで感情がこもっていない」という感がありました。俳優だからなのか、「“自分の言葉で気持ちを込めて”よりも、“台本どおりしっかり”話そう」としてしまうのでしょうか。
しかし、質疑応答に入ってからの東山社長からは、「自分の言葉で気持ちを込めて話そう」という姿勢が見られました。前回の受け答えや考えの甘さを反省したのか、それとも、十分に想定問答のシミュレーションをしておいたのか。
表情、言葉選び、トーン、テンポなど、いずれも気負いや不安は感じられない自然体で、「相談して決めたことや自分が感じたことをありのまま話すだけ」という迷いのない様子が伝わってきたのです。
1回目と違い、フォローしあっていた東山&井ノ原
2度目の会見で象徴的だったのは、東山社長と井ノ原さんが終始フォローし合うように代わる代わるコメントしていたこと。
どちらかが話し終えると、すぐにもう一方が言葉を補足し、さらにそれを受けてもう一歩踏み込んだ話につなげていく。言葉に詰まりかけたり、言い足りないところがあったり、誤解を招きかねないところがあると、すぐに言葉を加えてフォローし合う。
このようなコンビとしての受け答えは、危機管理広報においてリスクを避けられる理想的な対処法の1つ。「できるだけ弁護士に頼らず自分たちで答えていこう」という姿勢も含め、前向きな印象を与えました。この1カ月弱で相当話し合いを重ね、共通認識ができたからこそ可能な姿であり、だからこそ迷いなく話しているように見えたのでしょう。
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