バス会社が運営「書写山ロープウェイ」の舞台裏 神姫バス、姫路城以外の観光地へ周遊拡大狙う

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その後、参加者は貸し切りの臨時便で山上に移動。こちらも通常は非公開の「山上重錘室」で、運転中におもりがゆっくりと上下に揺れる様子を見学した。副所長の野村さんは今回のバックヤードツアーの企画について「普段入ることができない場所を見て学ぶことで身近に感じていただき、『空宙山歩』を楽しむ乗り物として利用してもらいたい。書写山ロープウェイの独自の魅力も発信していきたい」と話していた。

書写山ロープウェイ運転室 技術員と副所長
技術員の村上富彦さん(左)と副所長の野村昌寛さん。運転室はふもとにある(記者撮影)

観光バスのようなアナウンス?

書写山ロープウェイには山麓運転の方式や、プラットホームでゴンドラを固定する「はね上げ式桟橋」など、乗り物としてユニークな見どころがある。

所長の西村浩さんは「バス会社の安全最優先の運行管理が強み」と語る。ゴンドラ内では観光ガイドが毎回マイクを握り、上り便では圓教寺の参拝案内、下り便では姫路市内の観光案内をしている。6人の観光ガイドのうち5人は「バスガイドの経験者」という。こうした点にもバス会社ならではの特徴が表れている。

書写山ロープウェイ バックヤードツアー 臨時便
ゴンドラ内では観光ガイドが案内をする(記者撮影)

コロナ禍前の2020年4~7月と比べると書写山ロープウェイの利用は4分の3ほどの戻りだが、最近は回復傾向が強まっているという。姫路城はたくさんの観光客で混雑するうえ、駅からはバスに乗らずに徒歩で行ける距離にある。神姫バスは駅から220円区間の2日間乗り放題と書写山ロープウェイの往復が付いたセット乗車券などで、姫路エリアの周遊を喚起する。

全国的にオーバーツーリズムが指摘される中、路線ネットワークを生かしてほかの観光スポットへの誘客に結び付けられるか。地元バス会社の腕の見せどころと言えそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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