中国EV最大手BYD、1~6月期最終益3倍増の背景 値下げ競争下でもテスラ尻目に利益率上昇

✎ 1〜 ✎ 74 ✎ 75 ✎ 76 ✎ 最新
拡大
縮小

現在、BYDの主力製品には小型セダン「秦」、中型セダン「漢」、中大型SUV「唐」、小型SUV「宋」など中国歴代王朝の名を冠する「王朝シリーズ」と、海洋動物にちなんだ車名を持つ「海洋シリーズ」がある。

このほか、BYDが独メルセデスベンツとの合弁で作る高級EV「騰勢(デンツァ」やハイエンドブランド「仰望(ヤンワン)」「方程豹」などの子会社ブランドでも商品展開している。そのなかで収益率が比較的高いのは「騰勢」で売れ行きは好調だ。華泰証券の調査レポートによれば、2023年4~6月期のBYDの自動車事業の1台当たり利益は約8200元(約16万5677円)と直前の四半期に比べ26%増加した。

中国の新エネルギー車シェア首位に立ったBYDの本社(中国広東省深圳市、同社ウェブサイトより)

BYDの生産販売速報によれば、2023年7月までの7カ月間で、BYDが販売した新エネルギー車は前年同期より9割近く増加、業界平均の2倍を超える伸び率を記録した。中でもPHV車の販売台数は前年同期比91%増加しており、伸び率はEVの85%を上回った。

輸出台数、2022年通年を上回る

海外ではBYDはすでに日本、ドイツ、オーストラリア、ブラジルなど50を超える国・地域でクルマを販売している。中国汽車工業協会のデータによれば、1〜6月期のBYDの自動車輸出台数は8万1000台に達し、2022年通年の輸出台数を上回った。また一部の海外市場では現地生産の準備にも取り組んでいる。

本記事は「財新」の提供記事です

2022年9月、BYDはタイで初の海外乗用車工場の建設に着手、2024年に生産を開始する予定だ。2023年7月には、ブラジルで新エネルギー自動車の製造、リン酸鉄リチウム電池の材料加工、電動バスと電動トラックのシャシー製造など、3つの自動車関連工場を建設すると発表。2024年下半期の生産開始を目指している。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は8月29日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT