読書を怠る人と習慣にできている人の決定的な差 文章力もプレゼン力も…あらゆる仕事力向上に効く

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「スライドをそのまま印刷したものを配ることは、絶対に避けるべきだ。まして、プレゼンテーションの前に配布するのはもってのほかである」

この2行を読んだ瞬間に、雷に打たれたような衝撃にとらわれました。スライドを印刷したものをプレゼンテーションの前に配る。まさに、私がやっていたこと、そのものだったからです。資料があったほうが、後ろに座った人もスライドが見づらくても便利だろうし、メモもとりやすいだろう。「資料前渡し」がプレゼンテーションの常識。参加者に対するベストのサービスだと思っていた。その常識が完全に間違っていたのです。

資料を事前配布しなくなったことで起きた変化

早速、次回のセミナーから、資料を後で渡すスタイルに変えました。

そうすると、驚くべきことが起こったのです! まず、参加者の目の輝きが違う。よく見ると、参加者全員が話をしている自分のほうを見ているではありませんか。

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これは、「資料前渡し」をしていたときには、絶対にありえなかったことです。どんなに熱弁をふるっていても、資料のほうを見ている人は必ずいるし、参加者が熱心なほど、資料の余白にメモしたりするわけですから。

「資料後渡し」にすることで、参加者は講師に注目せざるをえなくなり、参加者の集中力が何倍にも高まります。そうすると、参加者が講演、セミナーの内容を、何倍も吸収できるようになります。セミナー後のアンケートも大好評で、いつもよりはるかに満足度が高かったのです。

「資料後渡し」方式にしてから、私のセミナー参加者が急増しました。30人集めるのも大変だったのが、毎回必ず50人は集まるようになり、気づくと100人の会場が満席になるようになっていました。一度セミナーに参加した人が、圧倒的な満足感からリピーターになって、何度も通うようになったからです。

たった1冊の本、それもたった「2行」のアドバイスを実行しただけで、私は参加者が 100人集まる人気講師に変身できたのです。

たった1冊の本を読んだだけで、私の「プレゼンテーション力」に革命が起きた。

本は、私たちの「仕事力」をアップさせてくれる! これは間違いないことです。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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