「iPodの父」が語るジョブズから教わった教訓 ものづくりの現場で意外とスルーされる「常識」

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一方、反面教師にしているのが、チームの功績を認めなかったことだ。スティーブには「そんなアイデアは最悪だ」と部下の意見をけなした翌日、「すごいことを思いついたぞ!」とほぼ同じアイデアを自分のもののように語る悪癖があり、そのたびに僕らは「マジかよ」と顔を見合わせたものだ。誰かが優れた意見を出したときには「すばらしいアイデアをありがとう、それを土台に進めていこうじゃないか」と認めなければならない。

「何を」つくるかばかりに目が向いている

――製品開発においてストーリーテリング(ユーザーがなぜ、どのように製品とかかわるか)を重視する姿勢もジョブズ氏と重なる。

ストーリーの重要性に気づいたきっかけは、社会人になって最初に就職したゼネラルマジック社だ。アップルより15年も前にiPhoneをつくろうとしていた先端的企業だったが、そこにはストーリーがなかった。

技術を使って「何を」つくるかばかりに目を向け、「なぜ」つくるのか考えなかったのだ。最後にようやくストーリーを考えたが、架空のユーザーにもとづく作り話に過ぎなかった。

この失敗を通じて、ストーリーテリングに時間をかけるべきだと学んだ。アップルでスティーブにiPodのアイデアをプレゼンする頃には「なぜ今、この製品が必要か」をきちんと語れるようになっていた。

スティーブがiPodやiPhoneのストーリーを巧みに伝え、顧客との関係を築いていく姿を間近で見て、ネストでは創業当初から製品のライフサイクルを通じた顧客とのかかわりを「カスタマージャーニー」として明確に描いていた。

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