「iPodの父」が語るジョブズから教わった教訓 ものづくりの現場で意外とスルーされる「常識」
スティーブ・ジョブズの下でiPodとiPhoneの開発チームを率い、アップル退社後はAI搭載サーモスタット(室温調整器)のネストを創業。人気ブランドに育てた後グーグルに売却し、現在は投資・アドバイザリー会社の経営者――。
順風満帆の人生に思えるが、トニー・ファデル氏に言わせれば前半生は失敗の連続だったという。そこから学んだイノベーションの極意をまとめた著書『BUILD:真に価値あるものをつくる型破りなガイドブック』を上梓したファデル氏に、ものづくりをするにあたって、実は多くの人が忘れがちな、最も重要なポイントについて聞いた。
失敗から何を学んだかについて語っている
――シリコンバレーの著名CEOによる本はたくさんあるが、『BUILD』ならではの価値はどこにあるのか。
本書を書くうえで意識したのは、自伝にしないことだ。自分がどれほど偉大で完全無欠な人間かを語ることの多いシリコンバレー本とは対極にあるといえるだろう。この本では成功より失敗について、失敗から僕が何を学んだかについて語っている部分のほうが多い。僕はこれほど多くの失敗をしてきた、みなさんが考えている以上にふつうの人間なんだ、と。
――伝説のエンジニアの著書というのでモノづくりの本かと思ったが、個人のキャリア形成から経営論まで多岐にわたる内容だった。
iPodのような製品をつくるノウハウを知りたいと本書を手に取る読者に、「大切なのはそこじゃないんだ」と伝えたい。そんな思いを込めて「BUILD(つくる)」というタイトルをつけた。
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