花王「優等生企業」の憂鬱、なぜ改革が遅れたのか 最高益から一転「4期連続減益」負のスパイラル

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今期の構造改革では、化粧品事業のブランド再編による費用発生も計画する。花王は2018年以降、国内外で重点投資する約20のブランドを中心に商品群を絞ってきた。今期は、12ブランドの展開を見直すために在庫処分の費用等を見込む。5年かけて進めてきた構造改革だが、今期で決着をつけたいという。

だが、600億円規模の費用を説明できる具体的な内容や内訳は明かされなかった。「構造改革の実行が遅すぎる。(化粧品へのテコ入れが)5年経った今でも、まだ終わっていないことにも驚いた。ここ数年は業績が停滞しており信頼感も下がっている」(アナリスト)と厳しい声も上がる。

大和証券の広住勝朗シニアアナリストは「巨艦で舵を切りにくい、切れてもすぐには動けない。社内でコンセンサスを構築しているうちに、環境変化についていけなくなっている」と指摘する。

グローバル戦略の核はケミカル事業だが

花王は業績下方修正と同時に、2027年度までの新中期経営計画を発表。劣勢挽回に向けて「グローバル展開の強化」を宣言した。

その「先駆け」となるのが、ケミカル事業だ。法人向けに産業用製品の販売等を行うBtoB事業は、海外売上比率が2022年度に65%と高水準となっている。衣料用洗剤やシャンプー等に使われる界面活性剤の主原料となる高級アルコールや、食器用洗剤や殺菌剤等に使われる三級アミンは、海外でも品質が高く評価されている。

現在は、半導体の洗浄などに使用される薬剤の開発にも注力する。5Gや6Gといった通信分野に欠かせない技術で、すでに大手企業からの採用が確定しているという。

しかし期待のケミカル事業も、今期は苦戦を強いられている。独自商品でシェアも高いことから、営業利益率8〜10%前後で収益面を底支えしてきたが、今中間期(2023年1~6月)の営業利益は111億円と、前期比90億円のマイナスに沈んだ。これは花王にとっても計画外の打撃だった。

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