定まらない花王の戦略、問われるトップの決断力 値上げを掲げる一方でキャンペーン値引きも

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花王のロゴ
日用品・化粧品メーカーのトップに君臨し続ける花王だが、足元の業績が振るわない(編集部撮影)

日用品・化粧品大手メーカーの花王。原材料高騰と既存事業の停滞により、3期連続の減益と厳しい状況だ。

業績が振るわない中、価格戦略を疑問視する声も聞かれる。その一例が、2022年12月にPayPayとタッグを組んでドラッグストアで実施したキャンペーン。花王の商品を5000円以上購入すると、最大30%のPayPayポイントが消費者に還元されるというものだ。

このキャンペーンをめぐって、業界関係者からはこんな声が上がった。

「値上げしたいのか、それとも値下げをしたいのかよくわからない」

というのも花王は2022年4月から「メリーズ」の出荷価格を10%引き上げたり、5月に刷新した「アタックゼロ」について容量を少なくしながら価格を据え置いたりするなど、さまざまな商品で実質的な値上げを実施しているからだ。

日用品業界の特殊な事情

値上げの背景には、コロナ禍の影響をもろに受けた2020年以降は減益が続いていることに加え、ここのところの原材料費の高騰がある。たとえば稼ぎ頭の衣料用洗剤「アタック」をはじめとする洗剤類は、主原料であるパーム油などの価格が大幅に上昇し採算が悪化していた。

にもかかわらず、値上げに踏み切ったはずの商品までキャンペーンによる値引き対象としていたことから、業界内でも「いったい何がしたいのかよくわからない」と花王の真意をはかりかねているわけだ。

花王がキャンペーンを実施した理由について、複数の業界関係者は「日用品業界の特殊な事情がある」と明かす。

その事情とは、メーカーが小売店向けの販売を委託している卸売業者に加え、販売先であるドラッグストアも乱立し飽和状態のため、流通過程で値下げ競争が多発しているからだというのだ。

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