日経平均株価が本格反転するのはいつになるのか 低調な全体相場のストレスは個別株で発散へ?
その理由について、兜町筋は口をそろえて「2011年を思い出したからだ」と言う。2011年3月11日の東日本大震災は日本人にとって、記憶から消えることはないだろう。これは投資家にとっても同じだ。
この年は前年から「ソブリン危機」が叫ばれ、とくにギリシャ危機によってそれは最高潮に達していた。そんなときに起きた大震災だ。その恐怖が冷めやらぬ8月5日にアメリカ国債の格下げがあった。
このとき格下げしたのは前出のフィッチ・レーティングスではなく、S&P(スタンダード&プアーズ、現S&Pグローバル)だったが、当時も「トリプルA」から「ダブルAプラス」に格下げ、その理由も同じく債務上限問題で、財政赤字削減計画が不十分というものだった。
この格下げが世界に与えた影響は甚大で、「2011年アメリカ国債ショック」として歴史に刻まれている。このときの日経平均も、8月4日の9659円から直後の3日間で8656円へと1000円幅、約10%の急落に直面した経験が日本の多くの投資家に刻まれている。
米国株の反応を見れば影響が軽微なのは明らか
しかし、今回の格下げは、アメリカ経済に対するジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の「事実上のソフトランディング宣言」のあとにあり、唐突感が否めない。
ジャネット・イエレン財務長官は「古いデータに基づいている」と言い、ノーベル経済学者のポール・クルーグマンNY市立大学大学院センター教授など多くの専門家は「馬鹿げている」という趣旨の発言で一致している。
2011年と状況が異なっているのは明らかで、米国株の反応が示しているとおり、ショックというほどのことではない。アメリカよりも日本が不安や波乱になることはない、と言いたい。
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