アメリカで加速的に進む「親世代のビール」離れ メキシコのビールがシェア1位になった背景

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バドライトの製造元アンハイザー・ブッシュは、10年前からトレンドの変化に気づき始めていた。

2012年に同社は、モデロやコロナを製造するグルポ・モデロの買収を模索した。2013年初めにオバマ政権下の司法省は、モデロのビールをアンハイザー・ブッシュとミラークアーズというアメリカの2大ビール会社から独立させ続けることが公正な市場の維持に不可欠だとして、買収の差し止めを求めて提訴した。

当時、司法省で反トラスト局を率いていたビル・ベアは、アンハイザー・ブッシュが買収を模索したのはモデロの台頭を懸念していたからだと語った。両社は2013年に和解。別の企業(後のコンステレーション)がグルポ・モデロのアメリカ事業を統括することを条件に買収が認められることになった。

「市場ではその結果、コンステレーションが独立したオーナーとしてコロナやほかのモデロのブランドを本気で売り出す、あらゆるインセンティブを得ることとなった」と、現在はブルッキングス研究所で客員研究員を務めるベアは語る。「そして、まさにそれが起きたのだ」。

こだわりのマーケティングで差別化

モデロを傘下に収めてからの10年間で、コンステレーションは入念に商品のアイデンティティを洗練させてきた。

コンステレーションでビール部門を指揮するジム・サビアは、モデロの販売促進活動では、モデロに対するヒスパニック系支持層の信頼を維持しながら、新たな消費者を呼び込むバランスに気をつけてきたと話す。2016年にモデロは「ファイティング・スピリット」マーケティング・キャンペーンで初めて英語広告の攻勢を仕掛けた。

以来、コンステレーションはモデロを「試合の日」のビールに位置づけようと努めてきた。2017年には総合格闘技UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)のスポンサーとなり、契約の更新も行った。そのアイデンティティは、コンステレーションが友人とビーチで楽しむビールとして宣伝してきたモデロの姉妹ブランド、コロナとは一線を画している。

「これらのブランドの本質を本当の意味で見つけるのには、多くの時間がかかる」とサビアは言う。「そして、最終的にそれを見つけたら、私たちはそれにこだわり続けるのです」。

(執筆:J. Edward Moreno記者)
(C)2023 The New York Times

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