日本でのビジネスはほぼ通常に戻っている--在日米国商工会議所会頭インタビュー
東日本大震災から1カ月半。東京電力・福島第一原子力発電所事故の収束が長引く中、一時は外国企業による日本撤退やサプライチェーン上での「日本外し」などが懸念されたが、実際のところ海外企業は日本の現状をどのように見ているのか。米国企業の日本における経営者を中心に1000社が加盟する在日米国商工会議所(ACCJ)のマイケル・アルファント会頭に話を聞いた。
--福島原発のこれまでの経緯をどう見ていますか
非常に複雑な問題だが、全般的に言って、東電は妥当な措置をしてきていると思う。当初は先の見通しがまるでつかなかったが、現状はポジティブな方向に進んでいるように見える。ただし、これは東電だけの努力だけではなく、政府や自衛隊、米海軍、日立や米GEといったメーカーなどが積極的にかかわってきたことも背景にはある。現状はまだ厳しい状態にあるが、東電の対応は妥当だったと思う。世界のほかの電力会社が同様な状況に陥ったとき、同じような対応が出来るかというと難しい。
--米国側が日本政府や東電の情報開示に不満を抱いている、という声もあります
情報開示には明快さと透明性が大切だ。この点については、日米政府は緊密に連携を取り合い似たような声明を出してきている。ただ現状の問題は事態が非常に技術的に複雑なことで、専門知識を持ち合わせていない人にメッセージを出していくのが難しい。
ACCJや米国側が日本の出す情報に対して懐疑的だったことは一度もない。状況が複雑で事態が刻一刻と変わり続けていく中で、適切に情報を出し続けるのは大変だ。事故が起きた直後は我々も情報を欲していたが、同時にあの状況下では正確な情報を出すのには時間がかかることもわかっていた。われわれは情報を提供するように求め続けたが、それは必ずしも政府などが出す情報に対して懐疑的だったから、という訳ではない。
--事故直後には外資系企業による「首都圏脱出」もありました
私がCEOを務めるフュージョン・システムズはずっと東京にとどまり、一日たりとも休まなかった。ACCJも同様に通常営業を続けていた。一方、ACCJの会員企業に関しては、われわれの実施したアンケートによると、88%が「ビジネスに影響はなし」と回答、オフィスを閉鎖しなかったほか、11%が「一部閉鎖したが、現在は通常営業」と解答している。一時拠点を移動もしくは閉鎖した、というところは全体の1%未満だった。